真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー

真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー：幽玄の世界と人間のドラマ

1960年、李翰祥監督によって世に送り出された香港映画『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』（原題：倩女幽魂）は、中国の古典小説集『聊斎志異』に収録されている「聶小倩」の物語を映画化した作品です。ショウ・ブラザーズ製作による本作は、鮮やかなカラー映像で彩られ、第13回カンヌ国際映画祭にも出品されるなど、高い評価を獲得しました。日本では劇場公開されませんでしたが、近年ではDVDが発売され、日本でも観ることができるようになりました。

物語は、旅の途中で宿を求めていた青年、寧采臣が、荒廃した寺に辿り着くことから始まります。そこは妖怪の噂が絶えない不気味な場所でした。偶然にも、燕赤霞という剣士もそこに滞在しており、やがて寧采臣は、寺の隣にある屋敷に住む美しい女性、小倩と出会います。小倩の妖艶な魅力に惹かれた寧采臣は、彼女と次第に心を通わせていきますが、その関係は長くは続きません。

数日後、寺に宿泊していた客が何者かによって殺害されるという事件が発生します。それは、血を吸う妖怪の仕業でした。そして、小倩は寧采臣に衝撃の真実を告白します。彼女自身が幽霊であり、老婆という妖怪に操られて男性を誘惑し、命を奪っているというのです。

しかし、小倩は単なる悪霊ではありませんでした。彼女は寧采臣に、自分の遺骨を故郷に送ってほしいと切なる願いを打ち明けます。それは、成仏するための彼女の最後の望みでした。寧采臣は、小倩の願いを叶えるため、危険を承知で彼女と共に故郷を目指します。道中、老婆率いる妖怪たちの執拗な襲撃を受けますが、燕赤霞の勇敢な剣さばきによって、妖怪たちは退治されます。

李翰祥監督の手腕によって、『聊斎志異』の持つ幻想的な世界観が見事に映像化されています。幽玄な雰囲気、そして美しい小倩と、それを取り巻く人間のドラマが見事に融合した本作は、単なる怪奇映画の枠を超えた、深みのある作品と言えるでしょう。楽蒂演じる小倩の妖艶さと儚さ、趙雷演じる寧采臣の優しさ、そして楊志卿演じる燕赤霞の凛とした強さなど、個性豊かなキャラクターたちが物語に彩りを添えています。

音楽、美術、衣装、そして撮影など、スタッフの細やかな仕事もまた、この作品を素晴らしいものにしています。特に、姚敏による音楽は、作品の雰囲気を効果的に高めています。

『真説チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』は、後年、様々なリメイク作品が制作されるなど、現在もなお高い人気を誇る古典的名作です。その魅力は、時代を超えて人々の心を捉え続けています。もし機会があれば、ぜひ一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。きっと、忘れられない映画体験となることでしょう。

キャスト

聶小倩：楽蒂
寧采臣：趙雷
燕赤霞：楊志卿
老婆：唐若青

スタッフ

監督：李翰祥
脚本：王月汀
製作：邵逸夫
助監督：胡金銓、高立
撮影：何鹿影
照明：陳芬
美術指導：沈灝
服装指導：盧世侯、劉賢輝
化粧：葉一鳴
編集：姜興隆
道具：林華三
録音：鄺護
* 音楽：姚敏

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