眼鏡橋 (諫早市)

諫早眼鏡橋：歴史と文化が息づく石橋

眼鏡橋は、長崎県諫早市の諫早公園内に位置する、美しい石造りの二連アーチ橋です。その名の通り、水面に映る姿が眼鏡のように見えることから名付けられました。この橋は、日本の石橋として初めて国の重要文化財に指定され、その歴史的・文化的価値は高く評価されています。

概要

眼鏡橋は、長さ49.25メートル、高さ7メートル、幅5.5メートルという堂々たる規模を誇ります。架橋には約2800個もの石が使用され、その構造は堅牢かつ洗練されています。建設当時は、その規模の大きさから石の組み方に工夫が凝らされたと言われています。総工費は約3500貫文と記録されています。

歴史

眼鏡橋は、1839年（天保10年）に佐賀藩の重臣であった諫早家によって、現在地から約500メートル離れた本明川に架けられました。当時、橋の建設に携わった人々は、水害に負けない頑丈な橋を目指し、長崎の眼鏡橋を参考にしたと伝えられています。作家・野呂邦暢の『諫早菖蒲日記』にも、洪水に弱い諫早の地で、この橋が人々の願いを叶え、一度も流されることがなかったことが記されています。

しかし、1957年（昭和32年）の諫早大水害では、眼鏡橋も無傷ではありませんでした。欄干の一部が損傷したものの、橋自体は持ちこたえました。しかし、橋が流木やがれきを堰き止めたことが、結果的に被害を拡大したという指摘もなされました。復興計画においては、川幅拡張工事に合わせて橋を爆破解体する案も浮上しましたが、当時の野村儀平市長をはじめとする人々が、街のシンボルであり文化財であるこの橋の保存を強く訴えました。その結果、1958年（昭和33年）に日本の石橋として初の重要文化財指定を受けることとなり、1959年（昭和34年）から1960年にかけて諫早公園へ移設されました。現在、眼鏡橋はその美しい姿を水面に映し出し、訪れる人々の心を和ませています。

移設

移設工事の際、石工たちは参考資料として1/5スケールのモデルを作成しました。この「ミニ眼鏡橋」は、一時埼玉県所沢市のユネスコ村に移されましたが、その後、諫早市の高城公園に移設され、現在もその姿を見ることができます。

アクセス

眼鏡橋へのアクセスは以下の通りです。

JR九州・島原鉄道諫早駅より県営バス・島鉄バスで約5分、「諫早公園（県営バス）」または「諫早公園前（島鉄バス）」バス停下車
諫早駅より徒歩約15分
* 島原鉄道本諫早駅より徒歩約10分

まとめ

諫早眼鏡橋は、単なる橋以上の存在です。それは、人々の願い、水害の記憶、そして文化財を守り抜こうとした人々の熱意が込められた、歴史の証人と言えるでしょう。諫早を訪れた際には、ぜひこの美しい石橋を訪れ、その歴史と文化に触れてみてください。

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