矢尾次郎

矢尾 次郎（やお じろう）

矢尾次郎は、1916年5月24日に福井県福井市に生まれた日本の著名な経済学者であり、神戸大学名誉教授として知られています。1990年3月3日に亡くなるまで、彼は学術界で大きな足跡を残しました。教育を受けた機関としては、福井市立福井商業学校（現在の福井県立福井商業高等学校）や名古屋高等商業学校（現在の名古屋大学経済学部）があり、特に名古屋高等商業学校では赤松要のゼミで学び、その後神戸商業大学（現・神戸大学）へ進学。1940年に無事卒業を果たしました。卒業後、彼は指導教官であった田中金司の推薦により神戸商業大学にて助手としての職を得ます。

彼のキャリアは順調に進み、1944年には神戸商業大学の大東亜研究所調査員となり、続いて経済学部の助手、助教授、そして教授に昇進しました。1953年には神戸大学経済学部の教授に就任し、1960年からは文部省の在外研究員として英国およびアメリカへ留学し、1962年には経済学博士の学位を取得しました。彼は1970年には経済学部長、1975年からは神戸大学附属図書館長を歴任し、1980年に定年を迎えた後は名誉教授となりました。さらに、南山大学経済学部教授として教鞭を執り、1987年までその職を続けました。

矢尾次郎は様々な役職にも就き、1954年には教科用図書検定調査審議会の調査員、1967年には日本金融学会の理事、1972年には日本学術会議の会員、そして1979年には日本金融学会常任理事として活動しました。

彼の功績は数多く、1989年には勲二等瑞宝章を受章し、1990年には叙従三位の栄誉を賜りました。研究内容は貨幣経済や金融政策に関するものであり、彼の著作には『物価理論の研究 : 貨幣作用の分析』、そして『貨幣的経済理論の基本問題 : 貨幣経済の構造と貨幣の作用』などが含まれています。また、彼は他の著者との共編による書籍や翻訳も手掛けています。特に1978年にはベンジャミン・H・ベックハート著『米国連邦準備制度』を監訳するなどして、国際的な経済学の交流にも寄与しました。

矢尾次郎の学問的評価は高く、その研究は日本の経済学界に長大な影響を及ぼしました。彼の業績は、今もなお多くの経済学者に受け継がれ、新たな学問の発展に寄与しています。

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