矢沢頼綱

矢沢頼綱の生涯と業績

矢沢頼綱（やざわ よりつな）は、戦国時代の日本において重要な役割を果たした武将であり、諱は綱頼（つなより）とも称される。彼は真田頼昌の三男とされ、通称は源之助であり、真田幸隆の弟にあたる。矢沢家は、現在の上田市殿城町矢沢を支配する地侍であり、真田郷に接する地に位置していた。もともと諏訪氏の一族として真田家と敵対関係にあったが、頼綱が養子となることでその敵対は解消された。

若い頃、頼綱は一時出家して京都の鞍馬寺で僧侶となるが、間もなく故郷に戻り還俗した。その後、兄である幸隆のもとで武田信玄に仕官し、信濃先方衆として活動を始めることになる。1541年に起きた海野平の戦いでは、兄とともに敗北したため、諏訪氏の仲介を通じて武田信虎に従属し、この時期は真田家の家臣ではなく、独立した小領主であった。

1551年、兄の支援を受けて荒砥城を攻撃し、村上氏の一族である山田国政と吾妻清綱を征討し、成功を収める。彼はその後も幸隆や、その後を継いだ甥の信綱とともに、1563年には上野の岩櫃城攻略において功績を挙げる。また、真田家の吾妻郡平定に向けて尽力し、一時は岩櫃城代を務めた。

1575年には長篠の戦いで信綱を失った後、真田家を継いだ甥の真田昌幸に仕えた。昌幸が甲府にいることが多かったため、頼綱は吾妻郡の管理や沼田領の侵攻を指導した。1580年には沼田城の攻略に成功し、その功により沼田城代に任命された。この頃、彼は「頼綱」という名に改名しているとされ、これは武田勝頼からの偏諱である可能性が考えられている。

長篠合戦の直前、彼は菩提所である矢沢の良泉寺に土地を寄進した記録も残されている。1582年、織田信長による武田征伐の結果、武田家が滅亡すると、独立勢力となった真田家の重臣として活躍した。昌幸からの指示を受けながら、頼綱は後北条氏との最前線でも働き、また1585年には沼田城在番の功労として海野領での特典も得ている。この年、多くの戦において、徳川家康の北条氏直に呼応した叔父・氏邦の沼田侵攻を撃退することに成功している。

1585年以降、彼の嫡子・矢沢頼康との連名で書状が残されていることから、この頃に家の代替わりが行われたと考えられている。その後、矢沢家は真田家臣団の中で最高位にあり、子孫は明治時代まで藩の筆頭家老として存続し、知行も2,000石に達し、40人の同心を持つ大身として顕著な地位を維持した。

1597年、頼綱は80歳でこの世を去った。彼の生涯は真田家の歴史において重要な時代を形成し、戦国時代の武将としての役割を果たした。彼に関連する史料として、真田氏が領内の検地を行っていた記録があり、『小県郡御図帳』や『真田氏給人地検地帳』といった文書に頼綱の名が見られる。

彼の生き様や歴史的役割は、多くの歴史書や大河ドラマにおいて描かれており、今でも多くの人々に名を知られる存在である。

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