矢田坐久志玉比古神社

矢田坐久志玉比古神社の概要

矢田坐久志玉比古神社（やたにいますくしたまひこじんじゃ）は、奈良県大和郡山市の矢田町に位置する式内社で、別名「矢落神社」と呼ばれています。この神社は延喜式神名帳に名を連ねる大和国添下郡の主要な神社であり、格式ある式内大社です。その歴史は古く、昭和13年には県社として認定される以前は郷社として崇敬を受けていました。

歴史と背景

この神社は、大同元年（806年）の『新抄格勅符抄』に記載された文書において、すでに矢田神が存在していたことが示されています。これは、矢田坐久志玉比古神社がそれ以前から創建されていたことを意味しています。また、仁徳天皇の皇后である矢田皇女がこの地域の出身であることからも、神社の重要性が感じられます。社の掲示には、「この地方最大の古社として創建から六世紀前半まで畿内随一の名社として栄えた」と記されています。

祭神について

矢田坐久志玉比古神社の祭神には、櫛玉饒速日命（くしたまにぎはやひのみこと）と御炊屋姫命（みかしきやひめ）の二柱が祀られています。明治12年の神社明細帳では、祭神が天太玉命から修正されたことが記録されています。この修正は、新政府の影響によるものとされています。

櫛玉饒速日命は、天磐船に乗って空を飛んだとされ、先代旧事本紀でも言及されています。このため、航空に関する神として一般に尊崇されており、毎年9月20日には航空祭が行われます。この祭りでは、かつて戦闘機に使われていたプロペラが奉納され、神社の楼門屋根裏に吊るされる光景が見られます。

文化財と境内神社

矢田坐久志玉比古神社は、重要文化財として二棟の社殿が認定されています。それには本殿と八幡神社社殿が含まれます。また、境内にはいくつかの摂社も存在しており、その中でも八幡神社（祭神：誉田別命）や若宮神社（祭神：宇摩志麻治命・天照皇大神・弥都波能賣神）が重要です。さらに、境外には主人神社があり、こちらでも同じく饒速日命と御炊屋姫命が祀られています。名のある八阪神社もこの地域にあり、祭神は須佐之男命です。

アクセスと施設

矢田坐久志玉比古神社へのアクセスは、近鉄橿原線「近鉄郡山駅」からバスを利用するのが一般的です。「大和小泉駅東口」行きまたは「矢田寺前」行きのバスに乗り、「横山口」で下車すると徒歩6分で到着します。神社には駐車場も完備されているため、車での訪問も便利です。古社の歴史や祭りを体験し、地域の文化や信仰に触れることができる貴重な場所です。

参考文献

本神社については、池田末則ほか著、谷川健一編集の『日本の神々: 神社と聖地 第4巻』（白水社、1985年）を参照してください。

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