若杉弘

若杉 弘（わかすぎ ひろし）

概要

若杉弘（1935年5月31日 - 2009年7月21日）は、日本の著名な指揮者であり、さまざまな音楽活動で世界的に知られる存在でした。彼は、父が外交官であり、日本とアメリカの関係にルーツを持つ家庭に生まれました。妻はメゾソプラノ歌手の長野羊奈子です。

人物・来歴

東京の出身である若杉は、幼少期からピアノを学び、演劇、オペラ、バレエと親しみました。高校時代にはオペラ団体にてピアノ伴奏を務め、音楽の道に進むことを決意します。彼は慶應義塾大学経済学部に入学後も音楽への情熱を捨てきれず、最終的には1956年に東京芸術大学声楽科に転入します。そこで伊藤栄一や齋藤秀雄から指揮法を学び、1959年にはオペラデビューを果たしました。

卒業後、NHK交響楽団の指揮研究員として活動を開始し、有名な指揮者たちの指導を受けました。1963年には東京交響楽団を指揮してコンサートデビューを果たし、その後、1977年にはケルン放送交響楽団の首席指揮者に就任します。若杉はベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やボストン交響楽団など、多くの国際的なオーケストラで客演し、アジア人指揮者の地位向上に寄与しました。特に現代音楽の初演においても頭角を現し、数々の作品を世に送り出しました。

オペラ部門での活動

若杉はオペラ指揮者としても名を馳せ、バイエルン国立歌劇場やドレスデン国立歌劇場などで要職を務めました。彼は東西ドイツ統一の時期に音楽監督として任命されましたが、制度の変更によりその職には就けませんでした。日本に帰国後は、東京室内歌劇場の芸術監督や新国立劇場の芸術参与などを歴任し、現代音楽の古典作品の日本初演を行うなど、若杉の音楽としての貢献が続きました。

音楽スタイル

若杉弘は「プログラミングの時点で演奏会は始まっている」との信念を持ち、独自のプログラム作りに力を入れました。特に時代背景や文学に基づいた選曲が目立ち、過去の作品だけでなく、一般には知られていない作曲家の作品を取り上げる独自の視点が評価されました。彼は「マーラーと新ウィーン楽派」や「ブルックナーとメシアン」といった特定の演目のシリーズを組むことで注目を集めました。

主な受賞歴

若杉はその業績に対し、多数の賞を受賞しており、芸術選奨文部大臣賞や朝日賞、日本芸術院賞などが含まれています。彼の音楽的な業績が評価される中で、音楽界における存在感はますます強まっていきました。

最後の時期

2009年7月21日、若杉は74歳で東京の病院で多臓器不全により逝去しました。彼の音楽に対する情熱と貢献は、彼を知る人々の心に永遠に残ることでしょう。彼の墓所は多磨霊園にあります。

世界初演と日本初演の作品

若杉は数々の作品の世界初演と日本初演を手掛け、その一部は以下の通りです。彼はベルリオーズやワーグナーなどクラシックの巨匠たちの作品を日本で初めて演奏し、多くのオペラをもたらしました。特にマーラーの交響詩や現代音楽では、特に新作に積極的に取り組み、その名を世界に知らしめました。

結び

若杉弘のキャリアは、指揮者としての偉大な伝統を築くだけでなく後進の指導にも力を入れ、音楽界における日本人の地位向上に貢献した重要な存在であり続けました。彼の業績は、音楽を愛する人々の心に深く刻まれています。

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