矢野浩三郎

矢野浩三郎 (やの こうざぶろう)

概要

矢野浩三郎は1936年7月20日に福岡県甘木市（現在の朝倉市）に生まれた日本の翻訳家、著作権エージェントおよび実業家であり、2006年3月26日に亡くなった。明治大学文学部を卒業後、彼は斎藤正直の指導の下で学び、その後様々な経歴を歩むことになる。

キャリアの初期

1961年、矢野は早川書房に入社し、雑誌「ホリディ」の担当編集者として活動を開始したが、この雑誌は1号限りで終了し、彼もその後職を退くこととなった。その後、1963年にはチャールズ・イー・タトル商会（現タトル・モリ エイジェンシー）に移り、海外著作権エージェントとしてのキャリアをスタートさせた。1965年からは海外評論社で勤務し、1966年には宮田昇と共同で矢野著作権事務所を設立し、代表取締役に就任した。この事務所は1970年に日本ユニ・エージェンシーに改称され、さらに業務を拡大していった。1981年には、同社の非常勤取締役としても活動するようになった。

翻訳家としての活動

矢野は1967年頃から翻訳家としての活動も始めた。彼は英語とフランス語の文献を訳し、特に推理小説や怪奇・幻想文学に多くの作品を提供した。翻訳した著者には、ジョルジュ・シムノン、スティーヴン・キング、ケン・フォレットなどが含まれており、その幅広いセレクションは多くの読者に親しまれた。彼の翻訳は、彼自身の文学的センスや解釈も含まれており、オリジナル作品の魅力を伝える力を持っていた。

主な翻訳作品

矢野の翻訳作品は、特に以下のようなものがある：

• - 『赤い花と死刑執行人 / 黒衣の少女』 (コーネル・ウールリッチ)
• - 『待伏部隊　マット・ヘルムシリーズ』 (ドナルド・ハミルトン)
• - 『フランケンシュタイン』 (マダム・シェリー)
• - 『ミザリー』 (スティーヴン・キング)
• - 「定本ラヴクラフト全集」全10巻 (ハワード・フィリップス・ラヴクラフト 監訳)

彼の翻訳活動は、文学界において重要な役割を果たし、特にホラーやSFなどのジャンルにおいて多くの名作を日本の読者に届けた。

学術分野への貢献

矢野は、悲劇的な物語だけでなく、古典的な文学作品も翻訳し、幅広い文献を扱ってきた。彼は後に明星大学の教授としても教壇に立ち、後進の育成にも力を入れた。日本出版学会、日本翻訳家協会、日本文芸家協会の会員としても活動しており、国際的な著作権や文学の理解を深めるために貢献していた。彼の影響は翻訳業界や学術界を超えて広がっており、彼が参加した様々な協会や活動は、今なお日本文学の発展に寄与している。

最後に

矢野浩三郎は、そのキャリアを通じて日本文学の発展に寄与した重要な人物であり、多くの翻訳と著作権業務を通じて文学と文化の架け橋を築いた。彼の残した作品と業績は、今後も日本の翻訳界や文学界において語り継がれていくことでしょう。

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