矢野誠一

矢野誠一について

矢野誠一（やの せいいち、1935年3月18日生まれ）は、日本の芸能界において広く認知されている評論家およびエッセイストです。東京の代々木八幡出身で、彼は歌舞伎学会や日本文芸家協会の会員としても活動しています。また、都民劇場理事や早川清文学振興財団理事を務め、演劇雑誌『悲劇喜劇』の編集顧問を担うなど、幅広いジャンルで影響力を持つ存在です。

学歴と戦績

矢野は麻布中学校、麻布高等学校を経て、1956年に文化学院を卒業しました。彼は中学時代から映画研究部に所属し、先輩たちには山際永三や福田善之らが名を連ねています。卒業後、劇団三期会の演出部に加わり、1962年には「精選落語会」をプロデュースしました。このイベントは、八代目桂文楽や六代目三遊亭圓生といった日本の著名な落語家を一堂に招聘したことで評価され、以降1968年まで続きました。

その後も、1967年には「上方寄席’67」や「東西交流落語会」を手掛け、これにより芸術祭奨励賞を受賞しました。彼は、落語を中心に評論活動を展開し、その傑出した業績は広く認められています。

評論活動と名著

矢野は、1962年に発刊された同人誌『落語白書』の最年少メンバーとしても知られます。仲間には江國滋や尾崎秀樹といった才能豊かな作家たちが名を連ねていました。彼の評論活動は落語の枠を超え、多彩なジャンルに広がりを見せています。1969年からは東京やなぎ句会に参加し、「徳三郎」という俳号で俳句も作成しています。

また、彼は5代目春風亭柳朝や7代目立川談志などの落語家を「若手四天王」と称し、入船亭扇橋のために新作落語「蕎麦の隠居」を執筆しました。この演目は長らく忘れ去られていましたが、2021年にNHKラジオで再放送されたことで新たに注目を浴びました。実の従兄弟には作家の夏堀正元がいます。

受賞歴

矢野の作品と活動は数々の賞に評価されています。1967年には芸術祭文部大臣奨励賞、1996年には第10回大衆文学研究賞、2006年には第14回スポニチ文化芸術大賞を受賞しています。そして2023年、彼は文化功労者として表彰されました。

著作の豊かさ

彼の著作は非常に多岐にわたります。代表作には「落語遊歩道」「落語歳時記」「私の信条」などがあり、いずれも彼の深い知識と独自の視点が反映されています。一部の著作は文庫化され後世に読み継がれています。また、彼の編著や共編著も多く、古典落語体系全8巻といった規模の大きなプロジェクトに取り組むなど、落語文化の継承にも尽力しています。

出演と影響

最近では、2021年に放送されたNHK番組「あの日あのときあの番組」で柳家小三治さんを偲ぶ特集に出演し、彼の見識を多くの人々と分かち合いました。矢野誠一は落語評論の第一人者として、今後も日本の芸能界に多大な影響を与える存在であり続けることでしょう。

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