矢野遺跡

矢野遺跡について

矢野遺跡（やのいせき）は、徳島県徳島市国府町矢野周辺に広がる歴史的遺跡で、縄文時代から中世にかけての活動が確認されています。この遺跡は史跡としての指定は受けていませんが、出土した貴重な文化財、特に「矢野銅鐸」と呼ばれる弥生時代の銅鐸や、縄文時代後期の遺物160点が国の重要文化財に認定されています。

矢野遺跡の概要

この遺跡は、鮎喰川の左岸、気延山の東側に位置する扇状地と沖積地域にまたがっています。矢野遺跡は、縄文時代の集落や弥生時代の集落、さらには古代の阿波国府に関連する官衙遺構や阿波国分寺跡も含まれており、その規模は非常に大きいです。この地域には、矢野遺跡の西側に隣接する気延山山麓に県指定の史跡「矢野の古墳」や中世の矢野城などもあり、一帯はトータルで阿波史跡公園として整備されています。また、徳島市立考古資料館も設置されています。

発掘調査の経緯

発掘調査は1992年に始まり、弥生時代集落の調査が行われました。これは徳島南環状道路の建設に伴うもので、徳島県内で最大規模の弥生時代の集落が発見されています。この調査では、弥生時代中期から末期にかけての約100軒の竪穴建物跡が検出されました。

特に注目すべきは、1992年12月18日に発見された銅鐸の埋納坑です。この埋納坑は建物跡や柱穴を伴い、銅鐸は木箱に入れられて埋納されていたと考えられています。このような埋納の形式は全国的に見ても珍しく、出土した突線袈裟襷文銅鐸（通称「矢野銅鐸」）は、1995年に国の重要文化財に指定されました。

縄文時代の発見

さらに、縄文時代についての調査は1994年から1998年にかけて行われ、ここでも19軒の竪穴建物跡が発見されています。この遺構の中からは、縄文土器や石器といった数多くの遺物が出土しています。特に、仮面の形をした土製の円板が注目され、西日本の縄文時代集落の中でも最大級のものとされています。

2019年に、これらの縄文時代後期の出土遺物160点が「徳島県矢野遺跡出土品」として国の重要文化財に指定され、地域の文化的価値がさらに認識されています。

このように、矢野遺跡は古代の文化を知る上で重要な資料を多く孕んでおり、訪れる人々にとって貴重な学びの場となっています。また、地域の歴史を感じることができるスポットとして、多くの人々に親しまれています。

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