矢野城

矢野城

矢野城は、広島県広島市安芸区矢野町に位置する山城で、南北朝時代から戦国時代にかけて存在しました。広島湾東岸にそびえる絵下山から北へ延びる丘陵尾根上に築かれ、戦略的に重要な拠点でした。

概要

建武2年(1335年)、安芸熊谷氏の一族である熊谷蓮覚によって築城されました。城の北側は大手口として矢野川によって形成された谷に面し、南側は絵下山を背にして守りを固めています。西側には明神山の尾根に続く茶臼山があり、搦手として機能していました。この地は元々後醍醐天皇との関係が深い荘園地域であり、山陽道にも近く、広島湾の船の動きを監視できる要地であったため、城が築かれたと考えられます。

歴史

1335年11月、安芸守護の武田信武らが足利尊氏に呼応して反後醍醐天皇の兵を挙げると、毛利氏や吉川氏、熊谷氏ら安芸国の有力豪族もこれに従い東上しました。しかし、熊谷氏の一族である熊谷蓮覚は、後醍醐天皇側に立ち、矢野城に籠って足利尊氏側と対峙しました。同年12月、4日間の攻防戦の末に大手口を突破され、熊谷蓮覚をはじめとする一族は討死し、矢野城は落城しました。

熊谷蓮覚の死後、矢野城に関する詳細は不明な点が多いですが、約100年後の文安2年(1445年)に、室町将軍足利義政から所領を与えられた野間重能が尾張国野間荘より入城しました。その後、大内氏の支配下に入り、近隣の平賀氏や小早川氏と勢力争いを繰り広げました。天文24年(1555)の厳島の戦いでは、当時の当主であった野間隆実が陶晴賢側につきましたが、毛利元就の調略によって降伏しました。しかし、降伏後にも関わらず野間氏の一族は虐殺され、矢野城も同時期に廃城になったと推測されています。

現在

1937年5月28日に広島県指定史跡として指定されました。現在でも郭の跡が多数残っていますが、一部は電波塔の用地となっています。

関連項目

野間氏
日本の城一覧
佐東銀[[山城]] - 三入高松城 - 草津城 - 桜尾城 - 己斐城 - 仁保城 - 府中出張城 - 広島城

外部リンク

広島県の文化財 - 矢野城跡（広島県教育委員会ホームページ）

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