阿波国分寺

阿波国分寺について

阿波国分寺は、徳島県徳島市国府町矢野に位置する曹洞宗の寺院です。薬王山、金色院と号し、本尊は薬師如来です。四国八十八箇所霊場の第15番札所としても知られ、地元では「国分寺」として親しまれています。

歴史

その起源は、天平13年（741年）に聖武天皇が発した国分寺建立の詔に遡ります。行基によって薬師如来が刻まれ開基されたと伝えられ、聖武天皇から釈迦如来像や大般若経、光明皇后の位牌厨子が納められたとされています。当初は法相宗の寺院として七堂伽藍を有する大寺院でしたが、弘仁年間（810 – 824年）に空海（弘法大師）が巡錫した際に真言宗に改宗したとされています。

『続日本紀』には、天平勝宝8歳（756年）に聖武天皇の周忌に際し、阿波国を含む26か国の国分寺に仏具などが下賜された記録があり、遅くともこの頃には寺院が完成していたと考えられます。

天正年間（1573 – 1592年）には、長宗我部元親率いる軍の兵火によって焼失しましたが、寛保元年（1[[741年]]）に徳島藩主蜂須賀家の命により再建され、その際に曹洞宗に改宗しました。

伽藍

境内には、山門、本堂（瑠璃殿）、大師堂、烏瑟沙摩明王堂、地蔵堂などがあります。

山門: 単層の山門を入ると、右手に手水場、左手に地蔵堂、七重塔礎石、鐘楼堂が並びます。
本堂（瑠璃殿）: 文政9年（1826年）頃に再建されたもので、2015年から2020年末にかけて屋根の修繕と耐震補強工事が行われました。
大師堂: 1996年の火災で焼失しましたが、2014年に新築再建されました。
七重塔礎石: 奈良時代に建てられた七重塔の巨大な礎石が残されています。
庭園: 国の名勝に指定されており、枯山水が美しい庭園は納経所で受付をすれば見学が可能です（拝観料300円）。

その他、烏瑟沙摩明王堂や白山大権現などを祀る堂、地蔵菩薩坐像のある地蔵堂などもあります。

文化財

国指定名勝 阿波国分寺庭園: 「阿波の青石」を豪快に組んだ枯山水が特徴で、安土桃山時代に築かれたと推定されています。高さ4.3mの立石は全国最大級です。
県指定史跡 阿波国分寺跡: 天平時代に創建された寺院の跡で、東大寺式伽藍配置であったことがわかっています。

交通案内

鉄道: JR徳島線 府中駅下車、徒歩約2.6km
バス: 徳島バス「国分寺前」下車、徒歩約0.4km
道路: 国道192号 矢野、自動車道は徳島自動車道 藍住IC、高松自動車道 板野ICが最寄りのインターチェンジです。

周辺の関連遺跡

阿波国分尼寺跡: 国の史跡に指定されている国分尼寺の跡。
阿波国府跡: 阿波国の国府があったと推定される場所。
八幡総社両神社: 阿波国式内社50座を勧請した総社と国府八幡宮を合祀した神社。
大御和神社: 阿波国総社であったとも言われる神社。
天石門別八倉比売神社: 阿波国一宮の論社の一つ。
徳島市立考古資料館: 阿波国分寺の出土品の展示や配置図を見ることができます。

札所情報

本尊真言: おん ころころ せんだりまとうぎ そわか
ご詠歌: 薄く濃くわけわけ色を染めぬれば　流転生死（るてんちょうじ）の秋のもみじ葉（ば）

前後の札所

四国八十八箇所霊場では、14番常楽寺、16番観音寺が前後の札所です。

阿波国分寺は、その長い歴史と美しい庭園、そして四国霊場巡りの札所として多くの人々に親しまれています。訪れる際には、その歴史と文化に触れ、心静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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