知床国立公園

知床国立公園

知床国立公園は、北海道の知床半島に位置する国立公園で、日本最東北端に位置しています。公園区域は、知床半島の中央部から知床岬までの周辺海域を含む約60,000ヘクタールに及びます。この広大な区域は、手つかずの自然が残る貴重な地域であり、その大部分が厳重な保護規制が敷かれた特別保護地区に指定されています。公園の西端には知西別岳があり、その周辺は遠音別岳原生自然環境保全地域に隣接しています。

世界自然遺産

知床国立公園を含む一帯（約71,100ヘクタール）は、2005年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。この登録は、知床の持つ自然環境の普遍的な価値が国際的に認められたことを意味します。

歴史

知床半島には、数千年前の先史時代の遺跡が多数残されています。特に、10世紀前後にオホーツク海沿岸で栄えたオホーツク文化の影響を受けたアイヌの人々は、シマフクロウやヒグマ、シャチなどを神と崇め、自然と共生する文化を育んできました。

国立公園指定後の歴史

1964年：国立公園に指定
1980年：公園区域の変更（遠音別岳を原生自然環境保全地域へ）
1984年：再検討
1990年：公園計画の一部変更（乗り入れ規制地域の指定）
1995年：第一次点検
2003年：公園計画の一部変更（北海道長距離自然歩道追加）
2005年：知床が世界自然遺産に登録、公園区域の変更（海域の拡張）
2010年：公園計画の一部変更（利用調整地区の指定、生態系維持回復事業の追加）、公園区域の変更

自然

地形

知床半島の地形は、プレート運動や火山活動、海食などの影響を受けて形成されました。そのため、奇岩や海食崖、火山地形など多様な景観を見ることができます。現在も活動中の火山として知床硫黄山があり、過去には大規模な噴火を起こしたこともあります。

海洋

オホーツク海は、北半球で最も低緯度に位置する季節海氷域であり、流氷が形成されることで知られています。流氷の下には、アイスアルジーと呼ばれる藻類が増殖し、植物プランクトンの大増殖を促します。この現象は、魚類や海棲哺乳類、陸上の生物へと繋がる食物連鎖の基礎となっています。

植生

海岸から山頂まで約1,600mの標高差がある知床半島では、低地から高山帯まで多様な植生が垂直的に分布しています。特に、ハイマツの低木林や高山植物群落が発達していることが特徴です。

生物

知床半島には、かつて北海道に広く生息していた北方及び南方由来の哺乳類、鳥類がほぼ全て生息しており、生物多様性が非常に高い地域です。陸上にはヒグマやエゾシカ、海域には鯨類や鰭脚類などの大型動物が高密度で生息しており、特にヒグマは世界有数の高密度で維持されています。また、シマフクロウ、オジロワシ、クマゲラなどの天然記念物も生息しており、オオワシにとっては世界的に重要な越冬地となっています。河川ではサケ類が優占していることも大きな特徴です。

主な川、滝、湖沼、山、岬

川：岩尾別川、カムイワッカ川、ルシャ川、テッパンベツ川、アウンモイ川、ルサ川、ケンネベツ川、サシルイ川、羅臼川
滝：フレペの滝、カムイワッカ湯の滝、カムイワッカの滝、カシュニの滝、男滝、女滝、セセキの滝、熊越の滝
湖沼：知床五湖、羅臼湖
山：知西別岳、天頂山、羅臼岳、サシルイ岳、知円別岳、知床硫黄山、ルシャ山、トッカリムイ岳、知床岳
岬：プユニ岬、知床岬

景勝地

知床半島には、手つかずの自然が残る美しい景勝地が数多く存在します。海岸線や山々、湖沼など、多様な景観を楽しむことができます。

集団施設地区・ビジターセンター

公園内には、集団施設地区やビジターセンターが設置されており、知床の自然や歴史について学ぶことができます。

参考資料

環境省_知床国立公園
知床世界遺産 | SHIRETOKO WORLD NATURAL HERITAGE SITE - 環境省
知床データセンター - 環境省
* 知床財団

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