石井吉也

石井吉也

日本の法学者であり、商法を専門分野とする愛知大学名誉教授です。1931年8月27日に三重県鈴鹿市で生まれました。

学歴と初期のキャリア

石井吉也氏は、愛知大学法経学部法学科で学び、1957年に卒業しました。その後、同大学院法学研究科修士課程に進み、1959年に修了し、法学修士の学位を取得しました。愛知大学在学中から、恩師である本間喜一に師事しており、教員となってからも本間氏との親しい関係は続きました。本間氏が1987年に逝去した際には、大学葬の葬儀副委員長を務めています。

大学院修了後、1962年10月には浜松短期大学（現在の浜松学院大学短期大学部）の専任講師として教員の道を歩み始めました。

愛知大学での活動と要職

1967年4月、母校である愛知大学に法経学部助教授として転じました。その後、1972年4月には同学部の教授に昇任しています。

愛知大学では、学内の様々な要職を歴任しました。具体的には、短期大学部第2部長、図書館長（1981年12月～1985年12月）、理事、法経学部長（1985年12月～1987年9月）を務めています。これらの役職を通じて、大学運営に深く関与していきました。

学長としてのリーダーシップ

1987年9月、法経学部長在任中に浜田稔学長が任期途中で辞任したことを受け、その後任を選出する学長選挙に立候補し、当選しました。これにより、愛知大学出身者としては初めて学長の座に就くこととなりました。この最初の学長任期は比較的短く、翌1988年3月には任期満了により退任しました。

この1期目の学長在任中、石井氏は愛知大学における重要な組織改革、すなわち法経学部の改組に取り組みました。これは、法経学部を法学部、経済学部、経営学部の三つの学部に分離・独立させるという大規模なもので、石井氏の学長退任後、1989年に実現へと至りました。

1期目の学長退任後、石井氏は大学院法学研究科長（1989年10月～1990年12月）や法学部長（1990年12月～1992年3月）を歴任しました。

そして1992年4月、牧野由朗学長の任期満了に伴う学長選挙で再び当選し、二度目の学長に就任しました。この2期目の任期は1999年11月までと長期にわたりました。この間、石井氏は江口圭一や加々美光行といった研究者らと共に、現代中国地域を専門的に研究する新たな学部の設立に奔走しました。その結果、1997年に「現代中国学部」が設立され、愛知大学の特色ある学部の一つとなりました。また、大学運営体制の強化を目的として副学長制度の導入を提唱し、これは石井氏の学長退任後の2000年に実現しています。

退職後の活動と栄誉

1999年11月に学長を退任した後、2002年4月には愛知大学を定年退職しました。長年の貢献が認められ、愛知大学名誉教授の称号が授与されました。

愛知大学退職後も研究・教育活動を続け、2002年4月からは朝日大学大学院法学研究科の教授に就任しました。

2008年6月には、久曾神昇、牧野由朗といった元学長や、元外交官の小崎昌業、当時の豊橋市長であった早川勝らと共に、愛知大学名誉役員に就任しました。

翌年の2009年11月には、これまでの功績が称えられ、瑞宝中綬章を受章しました。

現在も石井氏は精力的に活動しており、愛知大学の学内研究機関である経営総合科学研究所の名誉研究員を務めています。また、長年にわたり日本海法学会の監事としても活動してきました。

主な著書（共著）

『愛知大学三十周年記念論文集』（愛知大学法経学会 編、1976年）
『東三河地方における小規模株式会社の法的実態』（杉浦市郎と共著、1988年）

このように、石井吉也氏は商法学者としてのみならず、愛知大学の教育・研究体制の充実に大きく貢献した大学行政官としても知られています。

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