石井裕 (コンピューター研究者)

石井 裕（いしい ひろし）について

石井裕は、日本が誇るコンピュータ研究者であり、工学者として知られています。1956年2月4日に東京都で生まれましたが、5歳で北海道札幌市に移り住み、その後の人生において技術の道へ進むきっかけとなる環境が整いました。彼は幼少期からコンピュータに深い興味を抱いており、その影響を受けたのは父親が北海道新聞社でエンジニアとして働いていたことです。

石井は、北海道札幌南高等学校を経て北海道大学の工学部電子工学科を卒業し、同大学院の情報工学専攻で修士課程を修了しました。卒業後は電電公社に入社し、そこからさらに学問を追求するために、北海道大学から論文博士号を取得しました。その後、彼は西ドイツのGMD研究所やNTTヒューマンインターフェース研究所、さらにはトロント大学で客員助教授として教鞭をとり、最後にはマサチューセッツ工科大学（MIT）の教授に就任しました。現在はMITメディアラボの副所長も務めています。

2012年には、内閣府から「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」の一人に選ばれ、国際社会への顕著な貢献が評価されました。これは、彼がどれほど多くの人々に影響を与え、また日本の技術を海外に広める役割を果たしているかを示す重要な証です。

研究分野

石井の研究は、物理的な世界とサイバースペースをどのように接続するかに焦点を当てています。特に、「タンジブル・ビット」という概念を提唱し、デジタル情報を物理的な形で操作可能にするタンジブル・ユーザ・インターフェースを開発しました。この研究の中で、彼はNTTヒューマンインターフェース研究所に在籍している際に、同僚の小林稔と共に距離を越えて協同描画が可能な「クリアボード」を開発しました。この功績は、コンピュータ研究者であるアラン・ケイやMITメディアラボのニコラス・ネグロポンテに高く評価され、1995年秋にMITへ移籍するきっかけとなりました。

MITメディアラボにおいては、タンジブル・メディア・グループを創設し、タンジブル・ユーザ・インターフェースのさらなる研究を推進しました。彼の研究成果は広く認知され、2001年にはテニュアを取得し、2006年にはACM SIGCHIからCHI Academyを受賞しました。また、2019年にはアジア人として初めてSIGCHI LIFETIME RESEARCH AWARDを受けるなど、彼の功績は国際的にも評価されています。

主な著作

石井は多くの著作を残しており、これらは彼の研究分野における貴重なリソースとなっています。主な著作には以下のものがあります：

• - 『グループウェアのデザイン』(共立出版, 1994年)
• - 『CSCWとグループウェアー 協創メディアとしてのコンピューター』(オーム社, 1994年)
• - 『タンジブル・ビット：情報の感触・情報の気配』(NTT出版, 2000年)

このように、石井裕は情報工学の分野において多大な貢献をしている研究者であり、彼の功績は多くの人々に影響を与えています。

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