石井象二郎

石井象二郎（いしい しょうじろう）は、1915年2月12日に大阪府大阪市で生まれ、2004年12月10日に生涯を閉じた、日本の著名な昆虫学者・農学者です。

1937年に東京高等農林学校（現在の東京農工大学）を卒業後、農林省農事試験場昆虫部や佐賀県立農事試験場を経て、1946年に京都帝国大学農学部を卒業しました。1956年には、「アズキゾウムシの寄生選好に関する研究」で農学博士の学位を取得。その後、農林省農業技術研究所技官を務め、1963年には京都大学農学部教授に就任しました。1978年に定年退官し、京都大学名誉教授となりました。

石井象二郎の業績として特筆すべきは、ゴキブリの集合フェロモンを発見したことです。この発見は、昆虫の生理生化学的研究を大きく進展させるきっかけとなりました。また、応用動物昆虫学の分野においても多大な貢献をし、日本応用動物昆虫学会会長や日本昆虫学会会長を歴任しました。

研究活動の傍ら、数多くの著書を執筆し、一般読者向けにも昆虫の世界を分かりやすく紹介しました。1991年には、『イラガのマユのなぞ わたしの研究』で日本科学読物賞を受賞し、その研究成果が広く社会に認められました。主な著書には、『農薬小事典』、『昆虫の生活』、『新しい農薬の使い方』、『昆虫の生理活性物質』、『昆虫学への招待』、『害虫との戦い 農薬の功罪』、『ゴキブリの話 よみもの昆虫記』、『昆虫と化学』、『昆虫生理学』、『アリに知恵はあるか? わたしの研究』、『虫はなぜガラス窓をあるけるのか? わたしの研究』、『虫に食べられないアズキを求めて 一昆虫学者の戦中と戦後』、『モンシロチョウの観察』などがあります。また、『農薬と防除機具』や『殺虫剤と害虫防除法』など、複数の共著や編著も手がけました。

石井象二郎は、昆虫学の研究者としてだけでなく、教育者、そして科学の普及者としても、その生涯をかけて社会に貢献した人物でした。彼の研究成果と著書は、現在でも多くの人々に影響を与え続けています。

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