石坂浩二の金田一耕助シリーズ

概要

石坂浩二主演の金田一耕助シリーズは、日本のミステリー映画における重要な作品群です。このシリーズは、1980年代にかけて横溝正史の小説を原作とし、映画化された作品で、特に市川崑監督のもとで制作されたことで高い評価を得ています。最初の作品『犬神家の一族』は1976年に公開され、以降も続々と続編が製作されました。

このシリーズの起源は、1968年に週刊少年マガジンで横溝正史の『八つ墓村』が漫画化され、多くの読者の支持を受けたことにさかのぼります。これを受けて角川書店は1971年に『八つ墓村』の文庫版を刊行。大ヒットを記録し、横溝正史の作品を次々に文庫化した結果、横溝ブームが訪れました。映画界でもこの流れに乗り、さまざまな映画化プロジェクトが進行しましたが、角川映画が中心となったことで本作品群が生まれました。

金田一耕助のキャラクター

石坂浩二は本シリーズにおいて金田一耕助を演じる7人目の俳優です。彼が特徴的なのは、原作で描かれた金田一の風貌を忠実に再現したことです。具体的には、和服に袴、特有のボサボサ頭というスタイルであり、初期の映像化では再現されていなかったため、ファンに新鮮な印象を与えました。特にボサボサ頭については、手間をかけて演出されています。具体的にはカツラを使い、その後自身の髪を染め直しパーマをかけて、最終的に独特のヘアスタイルが完成しました。

また、金田一は原作では愛煙家であるものの、映画版では煙草を吸わない設定に変更されています。これは映画製作の方針の一部であり、以後の作品でもこの設定が守られてきました。金田一のトレードマークともいえるトランクは、石坂自身が所有していたもので、設定として後の映像化作品にも引き継がれることが多くなりました。

サブキャラクターと演出

シリーズの中では、金田一と共演するキャラクターも非常に個性的です。加藤武が演じる等々力警部をはじめ、毎回新たな警察幹部が登場し、それぞれが金田一と初対面という設定ですが、彼らの仕草や口癖には一定の共通性があります。特に「よし、わかった！」というセリフの後に繰り広げられる独特の推理劇はお馴染みであり、観客に親しみやすさを提供しています。

加藤武の演じる警察幹部のシーンでは、粉薬を服用して吹き出すシーンが印象に残ります。この粉薬は特殊に調合され、視覚的にも効果的に表現されています。

シリーズの評価

この金田一耕助シリーズは、市川崑監督のもとでおこなわれたため、映画的な完成度が非常に高く、特に第1作と第2作はキネマ旬報ベストテンにも選ばれるなど評価も高いです。ストーリーの連続性はなく、毎回独立したエピソードの展開がなされるこのシリーズは、日本の映画史においてユニークな存在と言えるでしょう。

また、2006年には角川映画の30周年を記念して『犬神家の一族』が再び制作され、石坂浩二がその役を再演しました。これにより、彼が演じた金田一のキャリアは更に確固たるものとなります。

作品一覧

1. 犬神家の一族 (1976年 10月16日公開) - 角川映画第1作
2. 悪魔の手毬唄 (1977年 4月2日公開)
3. 獄門島 (1977年 8月27日公開)
4. 女王蜂 (1978年 2月11日公開)
5. 病院坂の首縊りの家 (1979年 5月26日公開)
6. 犬神家の一族 (2006年 12月16日公開) - 再主演作品

このように、石坂浩二の金田一耕助シリーズは、ただのミステリー映画ではなく、深いキャラクター描写や独自の演出、充実したストーリー展開により、多くのファンを魅了し続けています。

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