石垣島天文台
石垣島天文台は、沖縄県石垣市に位置する天文台で、自然科学研究機構国立[[天文台]]、石垣市、石垣市教育委員会、特定非営利活動法人八重山星の会、沖縄県立石垣青少年の家、琉球大学の6者で構成される協議会によって運営されています。この天文台は、研究観測だけでなく、生涯教育や学校教育、アマチュア観測家との連携を重視した活動を推進することを目的に設置されました。
石垣島天文台は、連携という新しい形態での運営により、幅広い層への天文教育普及に力を入れています。昼間は施設の見学が自由にでき、夜間には天体観望会が開催されます。また、石垣島は緯度が低く黄道が高い位置にあるため、惑星科学や太陽系天体の観測に最適な環境です。そのため、一般観望時間外には、これらの天体を中心とした研究観測が行われています。
日本最西端かつ最南端に位置する大型光学赤外線反射望遠鏡の観測研究施設としても知られ、口径105cmの光学望遠鏡は、九州・沖縄地方では最大規模を誇ります。石垣島には、この天文台の他にも、国立[[天文台]]水沢VLBI観測所の観測点であるVERA石垣島局があり、相対超長基線電波干渉法（VLBI）による観測が行われています。VERA石垣島局では、銀河系の精密マップ作成や地殻変動、プレート移動の観測などを実施しています。
石垣島における天体観測施設は、20m電波望遠鏡を有する国立[[天文台]]VERA石垣島局の設置が始まりでした。当初、VERAは岩手県奥州市水沢区と石垣島にそれぞれ複数基の電波望遠鏡を設置する計画でしたが、1980年代初頭に野辺山宇宙電波観測所に45mミリ波電波望遠鏡が完成したことや、VLBI関連技術の進展を受け、現在の4局システムが構想されました。しかし、当初の予算では水沢、入来、小笠原の3局のみが認められ、石垣島局は1年遅れて2002年3月に開設されました。
その後、石垣市民や八重山星の会からの要望を受け、国立[[天文台]]は2004年5月に石垣島への光・赤外線望遠鏡設置を決定し、2006年3月に前勢岳の山頂に石垣島天文台を開設しました。一般公開は同年4月1日から開始されました。しかし、開設から約半年後の2006年9月には、台風13号により甚大な被害を受け、一時的に施設公開と天体観望会が中止されましたが、2007年4月1日に復旧し、一般観望を再開しました。
2013年には、4D2U（4次元デジタル宇宙）を上映するシステムと口径40cm赤道儀式望遠鏡を備えた「星空学びの部屋」が増築され、同年7月4日から一般公開されています。
石垣島天文台には、以下の施設があります。
8m直径のドームを備えた観測施設
観測室
研究室
望遠鏡ドーム
星空学びの部屋
天体望遠鏡
愛称は「むりかぶし」で、これは沖縄方言で「すばる」（プレアデス星団）を意味します。主要な望遠鏡としては、西村製作所製の105cm光学・赤外反射望遠鏡が設置されています。
105cm光学・赤外反射望遠鏡の主な性能は以下の通りです。
光学系：リッチー・クレチアン反射式
有効口径：105cm
合成口径比：F12
焦点系：
カセグレイン焦点（研究用）：冷却CCDカメラを搭載し、天体の測光に利用
ナスミス焦点1（観望用）：天体観望会などで利用
ナスミス焦点2（研究用）：分光器などを設置し、分光観測を行う
架台：経緯台方式
制御：自動制御
観測時駆動範囲：高度角 15-88度、方位角 真南±270度
ドーム直径：8m 観測時は望遠鏡に自動追尾
観望用焦点には、通常の接眼レンズが取り付けられ、自動制御による観望が可能です。研究用焦点には、3色同時測光カメラなどの機器が取り付けられます。
石垣島天文台では、主に以下の観測活動が行われています。
研究観測：惑星、彗星、小[[惑星]]などの太陽系内天体の観測が中心。突発天体現象の観測も行われ、国際的な観測ネットワークを通じてガンマ線バーストの確認観測を実施。
一般観測：八重山星の会によって、望遠鏡の口径を生かした惑星・星雲・星団の肉眼観測や、一般観望会の解説を担当。
天文台の所在地は、〒907-0024 沖縄県石垣市新川1024-1です。新石垣空港からは車で約40分ですが、公共交通機関がないため、自家用車またはタクシー等の利用が必要です。
一般向けには以下の公開が行われています。
施設見学：無料、予約不要。月曜日と火曜日が休館日（祝日は開館し、水曜日が休館）。10:00〜17:00。
4D2U上映会：無料、予約必要。開館日の15:00〜15:30。
天体観望会：無料、予約必要。土曜日、日曜日、祝日に実施。事前申し込み30名程度の定員制で、2交代制：19:30〜20:00、20:30〜21:00（時間帯は季節によって変更）。
美ら星ガイドツアー：有料、予約必要。平日に実施。20:30〜21:30。天体観望会及び4D2U鑑賞。
天文台は、玄関からドームまでバリアフリーに対応しており、車椅子利用者も望遠鏡まで移動して観望できます。
石垣島天文台及びVERA石垣島局に関連する天体として、以下の小[[惑星]]が挙げられます。
むりかぶし (小[[惑星]])：小[[惑星]]番号13989番の小[[惑星]]。関勉によって発見され、天文台の愛称「むりかぶし」にちなんで命名されました。
あやぱに (小[[惑星]])：2008年に石垣島天文台が主催した研究体験会に参加した高校生が発見した小[[惑星]]です。
石垣 (小[[惑星]]): 小林隆男により発見され、国立[[天文台]]の提案で、VERA局の所在地であることに因んで名付けられました。
これらの情報を通して、石垣島天文台が、研究と教育普及の両面で重要な役割を果たしていることが理解できます。
概要
石垣島天文台は、連携という新しい形態での運営により、幅広い層への天文教育普及に力を入れています。昼間は施設の見学が自由にでき、夜間には天体観望会が開催されます。また、石垣島は緯度が低く黄道が高い位置にあるため、惑星科学や太陽系天体の観測に最適な環境です。そのため、一般観望時間外には、これらの天体を中心とした研究観測が行われています。
日本最西端かつ最南端に位置する大型光学赤外線反射望遠鏡の観測研究施設としても知られ、口径105cmの光学望遠鏡は、九州・沖縄地方では最大規模を誇ります。石垣島には、この天文台の他にも、国立[[天文台]]水沢VLBI観測所の観測点であるVERA石垣島局があり、相対超長基線電波干渉法（VLBI）による観測が行われています。VERA石垣島局では、銀河系の精密マップ作成や地殻変動、プレート移動の観測などを実施しています。
沿革
石垣島における天体観測施設は、20m電波望遠鏡を有する国立[[天文台]]VERA石垣島局の設置が始まりでした。当初、VERAは岩手県奥州市水沢区と石垣島にそれぞれ複数基の電波望遠鏡を設置する計画でしたが、1980年代初頭に野辺山宇宙電波観測所に45mミリ波電波望遠鏡が完成したことや、VLBI関連技術の進展を受け、現在の4局システムが構想されました。しかし、当初の予算では水沢、入来、小笠原の3局のみが認められ、石垣島局は1年遅れて2002年3月に開設されました。
その後、石垣市民や八重山星の会からの要望を受け、国立[[天文台]]は2004年5月に石垣島への光・赤外線望遠鏡設置を決定し、2006年3月に前勢岳の山頂に石垣島天文台を開設しました。一般公開は同年4月1日から開始されました。しかし、開設から約半年後の2006年9月には、台風13号により甚大な被害を受け、一時的に施設公開と天体観望会が中止されましたが、2007年4月1日に復旧し、一般観望を再開しました。
2013年には、4D2U（4次元デジタル宇宙）を上映するシステムと口径40cm赤道儀式望遠鏡を備えた「星空学びの部屋」が増築され、同年7月4日から一般公開されています。
施設
石垣島天文台には、以下の施設があります。
8m直径のドームを備えた観測施設
観測室
研究室
望遠鏡ドーム
星空学びの部屋
天体望遠鏡
愛称は「むりかぶし」で、これは沖縄方言で「すばる」（プレアデス星団）を意味します。主要な望遠鏡としては、西村製作所製の105cm光学・赤外反射望遠鏡が設置されています。
性能
105cm光学・赤外反射望遠鏡の主な性能は以下の通りです。
光学系：リッチー・クレチアン反射式
有効口径：105cm
合成口径比：F12
焦点系：
カセグレイン焦点（研究用）：冷却CCDカメラを搭載し、天体の測光に利用
ナスミス焦点1（観望用）：天体観望会などで利用
ナスミス焦点2（研究用）：分光器などを設置し、分光観測を行う
架台：経緯台方式
制御：自動制御
観測時駆動範囲：高度角 15-88度、方位角 真南±270度
ドーム直径：8m 観測時は望遠鏡に自動追尾
観望用焦点には、通常の接眼レンズが取り付けられ、自動制御による観望が可能です。研究用焦点には、3色同時測光カメラなどの機器が取り付けられます。
観測所の利用状況
石垣島天文台では、主に以下の観測活動が行われています。
研究観測：惑星、彗星、小[[惑星]]などの太陽系内天体の観測が中心。突発天体現象の観測も行われ、国際的な観測ネットワークを通じてガンマ線バーストの確認観測を実施。
一般観測：八重山星の会によって、望遠鏡の口径を生かした惑星・星雲・星団の肉眼観測や、一般観望会の解説を担当。
場所と交通
天文台の所在地は、〒907-0024 沖縄県石垣市新川1024-1です。新石垣空港からは車で約40分ですが、公共交通機関がないため、自家用車またはタクシー等の利用が必要です。
公開種別
一般向けには以下の公開が行われています。
施設見学：無料、予約不要。月曜日と火曜日が休館日（祝日は開館し、水曜日が休館）。10:00〜17:00。
4D2U上映会：無料、予約必要。開館日の15:00〜15:30。
天体観望会：無料、予約必要。土曜日、日曜日、祝日に実施。事前申し込み30名程度の定員制で、2交代制：19:30〜20:00、20:30〜21:00（時間帯は季節によって変更）。
美ら星ガイドツアー：有料、予約必要。平日に実施。20:30〜21:30。天体観望会及び4D2U鑑賞。
天文台は、玄関からドームまでバリアフリーに対応しており、車椅子利用者も望遠鏡まで移動して観望できます。
天文台に関連する天体
石垣島天文台及びVERA石垣島局に関連する天体として、以下の小[[惑星]]が挙げられます。
むりかぶし (小[[惑星]])：小[[惑星]]番号13989番の小[[惑星]]。関勉によって発見され、天文台の愛称「むりかぶし」にちなんで命名されました。
あやぱに (小[[惑星]])：2008年に石垣島天文台が主催した研究体験会に参加した高校生が発見した小[[惑星]]です。
石垣 (小[[惑星]]): 小林隆男により発見され、国立[[天文台]]の提案で、VERA局の所在地であることに因んで名付けられました。
これらの情報を通して、石垣島天文台が、研究と教育普及の両面で重要な役割を果たしていることが理解できます。
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