超長基線電波干渉法

超長基線電波干渉法（VLBI）とは

超長基線電波干渉法（VLBI）は、電波天文学における特別な観測技術であり、遠隔地に配置された複数のアンテナからの得られたデータを統合して、高解像度の天体画像を生成します。この手法は、原子時計によって時間を計測し、データを記録した後、集中して処理することで実現されます。

解像度の向上

VLBIの解像度は、観測に用いるアンテナの最も離れた二つの間の距離に依存しています。この距離は物理的に接続できないほど広がることができ、これにより非常に高い解像度を持つ画像が得られます。この技術は、1950年代にロジャー・クリフトン・ジェニソンによって開発されたclosure phase解像技術に基づいています。通常、VLBIはラジオ波の周波数で行われますが、最近では可視光領域への応用も試みられています。

VLBIの応用

最も広く利用されているVLBIのアプリケーションには、遠方宇宙電波源の撮影、宇宙探査機の追跡、位置天文学などがあります。また、電波源からの信号が異なるアンテナに到達する際の時間の遅れを観測することで、基線の長さをミリメートル単位で測れるため、国際的な測地系の構築や地球の回転の測定にも役立っています。これにより、プレートテクトニクスの研究や時間の精密な監視も可能になります。

国際的な観測網

日本やアメリカ、ヨーロッパにはVLBI観測網が整備されており、特にヨーロッパVLBIネットワーク（EVN）とアメリカの超長基線アレイ（VLBA）が、グローバルVLBIと称され、その解像度は他の天文観測設備を凌いでいます。最近の技術革新によって、観測データのやり取りが高速回線を通して可能になり、リアルタイムでの相関も遂行されています。例えば、ヨーロッパでは6つの望遠鏡が結束し、Joint Institute for VLBI in Europe（JIVE）と共に1Gbpsの光回線でつながり、世界初のe-VLBIが成功しました。2009年の世界天文年の開幕式では、17基の電波望遠鏡を利用したe-VLBIの結果が紹介されました。

スペースVLBI

スペースVLBI（SVLBI）は、地球の外でアンテナを使用し、地球の直径を超える基線を持つ干渉計を実現する手法です。これにより解像度は地上のVLBIよりも3倍から10倍向上しますが、宇宙環境における精密な位置決定や周波数補償といった新たな技術的課題も伴います。初の成功例は、1986年から1988年にかけて行われたアメリカのTDRSと日本・オーストラリアの電波天文台を用いた実験です。その他、欧州宇宙機関（ESA）やNASAとの共同プロジェクトなども展開されています。

日本におけるVLBI

日本国内では、情報通信研究機構や国土地理院、国立天文台、宇宙航空研究開発機構などが様々なVLBIアンテナを運用しています。例えば、国立天文台の野辺山45mアンテナやVERA観測局は、国内外での研究に重要な役割を果たしています。

まとめ

超長基線電波干渉法は、高解像度な天体観測を実現するための重要な技術であり、宇宙の神秘を解明するための大きな可能性を秘めています。国際的な協力と先端技術の活用によって、今後の研究にさらなる進展が期待されます。

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