石川武 (法学者)

石川武（いしかわ たけし）は、1927年生まれの日本の法学者、歴史学者です。西洋史、特に西洋法制史を専門とし、中世初期の自由と国家に関する研究で高い評価を得ています。北海道大学名誉教授であり、法学博士（北海道大学）、名誉文学博士（ベルリン自由大学）の学位を持っています。

経歴

石川武は、1952年に北海道帝国大学文学部を卒業後、同大学文学部の助手としてキャリアをスタートさせました。その後、1956年に北海道大学法学部に助教授として着任し、1962年には同法学部の教授に昇進しました。1971年には同法学部の学部長、および北海道大学の評議員に就任し、大学運営にも深く関与しました。

1983年には、長年の研究の集大成として「序説・中世初期の自由と国家：国王自由人学説とその問題点」という学位論文で北海道大学から法学博士の学位を授与されました。1988年には学生部長と北海道大学評議員を兼任し、大学の教育と運営に尽力しました。1991年3月に北海道大学を定年退官し、翌4月には同大学の名誉教授に就任しました。

退官後も、教育活動への情熱は衰えることなく、札幌学院大学法学部客員教授（1991年 - 1992年）を務めたほか、1991年12月には拓殖大学北海道短期大学の学長に就任しました。1997年6月には同学長を退任しましたが、同大学の農業経済科教授として教鞭を執り続けました。1998年3月に拓殖大学北海道短期大学を退職するまで、教育者としての活動を継続しました。

また、札幌短期大学英文科（1952年 - 1956年）、ベルリン自由大学客員講師（1958年 - 1960年、1976年 - 1977年、1984年 - 1985年）など、国内外の様々な教育機関で教鞭を執りました。さらに、北海道教育大学教育学部旭川本校、北海学園大学法学部、札幌学院大学法学部（1983年 - 1990年、1998年 - 2004年）などでも非常勤講師を務めました。

受賞歴

1989年には、長年の学術研究に対する貢献が認められ、フンボルト賞を受賞しました。

著書

石川武は、研究活動を通じて多数の著書と翻訳書を出版しました。

単著

『序説・中世初期の自由と国家：国王自由人学説とその問題点』（創文社、1983年）

訳書

久保正幡編『中世の自由と国家：西洋中世前期国制史の基礎的諸問題』（創文社、1963年上巻・1969年下巻）
H.ヘルビック著：成瀬治と共訳『ヨーロッパの形成：中世史の基本的諸問題』（岩波書店、1970年）
オットー・ブルンナー著：石井紫郎・小倉欣一・成瀬治・平城照介・村上淳一・山田欣吾と共訳『ヨーロッパ：その歴史と精神』（岩波書店、1974年）
アイケ・フォン・レプゴウ著：久保正幡・直居淳と共訳『ザクセンシュピーゲル・ラント』（創文社、1977年）
ハンス・ティーメ著：久保正幡監訳『ヨーロッパ法の歴史と理念』（岩波書店、1978年）
K・クレッシェル著：石川監訳『ゲルマン法の虚像と実像：ドイツ法史の新しい道』（創文社、1989年）
マルク・ブロック著・堀米庸三監訳『封建社会』（岩波書店、1995年）

門下生

和田卓朗 - 元大阪市立大学法学部教授

参考文献

『北大法学論集 41巻5-6合併号』（北海道大学、1991年）
* 『政治・経済・法律研究 3巻1号』（拓殖大学、1998年）

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