石川総朋 (梧堂)

石川総朋（いしかわ ふさとも）

石川総朋は、江戸時代後期の旗本であり、書家としても知られています。総氏系石川家（保久石川家）の6代目として、その名を歴史に刻みました。字を錫我・亀我、号を梧堂、また知秋庵と称しました。

生涯

安永7年（1778年）、山城国淀藩主・稲葉正親の五男・正春の子として生を受けました。その後、石川総詳の養子となり、寛政6年6月13日（1794年7月9日）に将軍・徳川家斉に拝謁。同年閏11月17日（1795年1月7日）には、養父・総詳の致仕に伴い家督を継ぎました。

青木縫之助直美の息女を妻に迎え、火事場見廻役・火消役を歴任。文化元年12月16日（1805年1月16日）には、布衣着用を許されました。文化2年6月（1805年7月）に職を辞し、旗本寄合席に列しました。文化10年3月26日（1813年4月26日）に致仕し、弟である総功（養父・総詳の庶子）を養子として家督を譲り、隠居生活に入りました。嘉永5年1月6日（1852年1月26日）に、その生涯を閉じました。

総朋の出自については、鈴鹿郡郷土誌（復刻版）において、石川総氏の末裔にして稲葉氏を継ぎ、後に石川家に戻ったという記述や、伊勢亀山藩主の三男として生まれたとする資料も存在します。しかし、本項では『寛政重修諸家譜』および『石川家譜難波録』に基づき、稲葉正春の子として記述しています。また、名前についても「総明」とする資料が多いですが、上記二書に従い「総朋」を用いています。

書家としての活動

石川梧堂として知られる総朋は、明の書家・董其昌の書を学び、多くの門人を抱えていました。その書は世に広く知られており、「日本書誌学大系 23 三村竹清集(3)」には、「梧堂先生の能書は世に知られている通りである。若い頃から膂力に優れ、柔術に名を馳せ、さらに角觝においても晩年までその力を衰えさせなかった。まさに稀代の強豪である」と紹介されています。また、碁盤の上に百匁筒と湯呑を載せ、片手で持ち上げて湯を飲むなどの逸話も残されており、その驚異的な腕力が伺えます。邸内には土俵を設け、力士を育成したとされ、玉垣額之助も石川様の部屋から出たと伝えられています。

明治の教育者である中村正直も、梧堂に師事し書を学んでいます。

参考文献

『新訂 寛政重修諸家譜 第3』続群書類従完成会、1981年
『石川家譜難波録』
『伝記2(12)書家石川梧堂 森潤三郎』（伝記学会、1935年12月）P15
『掃苔7(8)石川梧堂とその生母の墓』（東京名墓顕彰会、1938年8月）P268

関連項目

石川氏
石川源氏

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