石川総脩

石川総脩は、江戸時代末期に伊勢亀山藩の第10代藩主を務めた人物です。石川家15代当主としても知られています。嘉永5年（1852年）に、第8代藩主・石川総紀の四男として生まれました。幼名は不明です。文久2年（1862年）に、第9代藩主であった兄の総禄が亡くなったため、その養子となって家督を継ぎ、藩主となりました。

藩主となった当時、総脩はまだ幼少であったため、隠居していた実父の総紀が補佐役として藩政を主導しました。総脩自身も父の協力を得ながら、藩政に積極的に取り組みました。特に力を入れたのが農業政策です。当時、藩内では生活を支えるための食料生産が重要な課題であり、総脩は桑や蚕の栽培を奨励することで、農民の生活向上を図りました。また、農業技術の改善にも努め、藩内の農業生産力を高めることに尽力しました。これらの功績は、著書である『勧農鎖言』にまとめられています。この書物には、当時の農業に対する考え方や、具体的な政策が記されており、総脩の農業に対する深い知識と熱意がうかがえます。

政治面では、元治元年（1864年）に発生した禁門の変において、山城八幡の守備を担当しました。この戦いでは、長州藩が朝廷に対して挙兵し、京都御所を攻撃しました。総脩は、幕府側の藩主として、この戦いに参加し、京都の警備に当たりました。しかし、慶応元年（1865年）閏5月6日、総脩は14歳という若さで病没しました。短い生涯ではありましたが、藩主として、また藩の将来を担う者として、その責任を全うしました。

総脩の死後、家督は弟である成之が養子として継ぎました。成之は総脩の遺志を継ぎ、藩政を引き継ぎました。総脩は、短い生涯ではありましたが、伊勢亀山藩の発展に貢献した藩主として、その名を歴史に刻んでいます。

もう一度検索