石橋甫

石橋甫：日本海軍を支えた航海のエキスパート

石橋甫（いしばし はじめ）は、文久2年（1862年）に生まれ、昭和17年（1942年）に没した日本の海軍軍人です。最終階級は海軍中将。彼は、日清戦争から日露戦争にかけての激動の時代に、航海長、艦長として重要な役割を果たしました。

生い立ちと初期の経歴

石橋甫は、加賀藩の御算用者の六男として金沢に生まれました。明治12年（1879年）に海軍兵学校に入校し、明治16年（1883年）に卒業。海軍少尉補として「龍驤」に乗り組み、海軍軍人としてのキャリアをスタートさせました。その後、「扶桑」など様々な艦艇に乗り組み、航海術のエキスパートとしての道を歩み始めます。

日清・日露戦争での活躍

石橋甫の名を歴史に刻んだのは、日清戦争と日露戦争での活躍です。日清戦争では、初代連合艦隊旗艦「松島」の航海長として、黄海海戦などの主要な作戦に参加しました。的確な航海術で艦隊を勝利に導き、その名を高めます。日露戦争では、防護巡洋艦「高砂」の艦長として出征。しかし、「高砂」は触雷により沈没。艦を失うという苦難を経験しました。その後、仮装巡洋艦「亜米利加丸」の艦長として任務に就きました。

海軍兵学校教頭、そして東京商船学校長へ

石橋甫は、艦長としての任務を終えた後、海軍兵学校教頭兼監事長、艦政本部第二部長などを歴任し、後進の育成に尽力しました。明治43年（1910年）には、東京商船学校長に就任し、日本の海運を担う人材の育成に貢献しました。

その後

大正3年（1914年）に海軍中将となり予備役へ。その後、後備役、退役を経て、昭和17年（1942年）に79歳で生涯を閉じました。

人物像と評価

石橋甫は、その卓越した航海術から「海軍随一の航海長」と評されました。緻密な計画性と冷静な判断力で、数々の作戦を成功に導き、多くの部下から信頼を集めました。また、教育者としても熱心であり、多くの優秀な海軍軍人を育成しました。石橋甫は、日本の海軍の発展に大きく貢献した人物として、その功績は後世に語り継がれています。

年譜

文久2年（1862年）：加賀藩士、石橋良蔵の六男として生まれる
明治12年（1879年）：海軍兵学校入校
明治16年（1883年）：海軍兵学校卒業、海軍少尉補
明治26年（1893年）: 防護巡洋艦「松島」航海長
明治37年（1904年）：海軍大佐、防護巡洋艦「高砂」艦長
明治38年（1905年）：仮装巡洋艦「亜米利加丸」艦長
明治41年（1908年）: 戦艦「石見」艦長
明治43年（1910年）：東京商船学校長、海軍少将
大正3年（1914年）：海軍中将、予備役
大正12年（1923年）：東京商船学校長を辞任、退役
* 昭和17年（1942年）：死去

石橋甫は、激動の時代を生き抜き、日本海軍の発展に大きく貢献した人物です。彼の卓越した航海術と教育者としての情熱は、現代においても学ぶべき点が多くあります。

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