石津照璽

石津照璽：宗教哲学の探求者

石津照璽（いしづ てるじ、1903年2月26日 - 1972年6月6日）は、日本の宗教哲学者です。その生涯は、宗教学の研究と教育に捧げられました。

生い立ちと学問の道

石津は、山口県美祢市で生まれました。旧姓は秋里。1926年に東京帝国大学文学部宗教学宗教史学科を卒業。その後、東大副手、日本大学講師を経て、1938年に東北帝国大学法文学部助教授に就任しました。1943年には教授となり、東北大学文学部教授、1960年には文学部長、1963年には東北大学学長に就任しました。

大学運営と学問の追求

1965年には、宮城教育大学学長も兼任しましたが、同年、東北大学の学生運動（農学部移転問題）に関連して、大学自治を求めた学生たちの無期限ストライキが起こり、その責任を取って学長を辞任しました。1966年に定年退官し、名誉教授となり、その後は慶応義塾大学や駒澤大学で教鞭を執りました。石津は、教育者としてだけでなく、研究者としても卓越した業績を残しました。1956年から四期にわたり日本宗教学会会長を務め、1954年から1967年まで日本学術会議会員、同第一部長を務めました。また、1960年には国際宗教学宗教史学会副会長にも就任するなど、国内外で活躍しました。東亜大学の創立にも参加し、後進の育成にも尽力しました。門下には板橋興宗がいます。

宗教哲学への貢献

石津の宗教哲学は、実存主義的な視点を取り入れつつ、東洋的な思想との融合を試みたところに特徴があります。彼は、宗教経験を単なる主観的な感情としてではなく、人間存在の根源に関わるものとして捉え、その構造を深く探求しました。特に、キェルケゴールの思想を研究し、その影響を受けながらも独自の宗教哲学を構築しました。

主要な著作

石津の主要な著作には、以下のようなものがあります。

『東洋復興 新世界觀の要求』 (教學新書) 目黒書店 1943
『天台実相論の研究 存在の極相を索めて』弘文堂書房 1947
『宗教的人間』培風館 1951
『宗教哲学の問題と方向』弘文堂 1953
『宗教経験の基礎的構造』創文社 1968
『宗教哲学の場面と根底』創文社 1968
『キェルケゴール研究』創文社 1974
『宗教哲学研究』創文社 1980

これらの著作は、宗教哲学の分野において重要な文献として位置づけられています。石津の著作は、単なる宗教の教義や歴史を解説するのではなく、人間存在の根源的な問いに対する深い考察と、それを踏まえた独自の宗教哲学の展開がなされています。

死去

1972年6月6日、東京都新宿区の宝禅寺で脳出血により死去しました。享年69歳。その生涯は、宗教哲学の研究と教育に捧げられ、多くの人々に深い影響を与えました。石津の業績は、現代においてもなお、宗教哲学を研究する上で重要な指針となっています。

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