石田瑞穂 (詩人)

石田 瑞穂（いしだ みずほ）

1973年5月21日、埼玉県（旧大宮市）に生まれた石田瑞穂は、現代日本を代表する詩人の一人です。現在は同県さいたま市を拠点に創作活動を行っており、日本現代詩人会の会員でもあります。

学歴と詩作の源泉

獨協大学外国語学部在学中に原成吉氏のゼミナールにてアメリカの近現代詩を深く学び、その後の詩作の基礎を築きました。大学卒業後は、青山学院大学大学院博士前期課程、さらに京都大学大学院文学研究科思想文化学哲学専修博士課程を修了し、哲学的な視点からも詩を探求しました。

主な受賞歴

1999年に第37回現代詩手帖賞を受賞し、詩壇での地位を確立。その後も、詩集『まどろみの島』で第63回H氏賞を、詩集『耳の笹舟』で第54回藤村記念歴程賞を受賞するなど、詩人として高く評価されています。

著作活動

主な詩集として、『片鱗篇』、『まどろみの島』、『耳の笹舟』、『Asian Dream』、『長篇詩 流雪孤詩』などがあり、いずれも思潮社より刊行されています。これらの作品は、彼の独自の詩的世界観と洗練された言葉遣いを示しています。また、他の詩人や写真家などとの共同での著作活動も積極的に行っており、『遠いアトラス』（暁方ミセイ、管啓次郎と）、『地形と気象』（暁方ミセイ、大崎清夏、管啓次郎と）、写真家・谷口昌良との写真詩画集『Catch the Emptiness 空を掴め』など、多様な形式での作品を発表しています。

国内外での活動

詩とアートをテーマにしたテレビ番組「Edge」への出演や、その後のイベントディレクターを務めるなど、メディアを通じた活動も行っています。2014年には、小説家の古川日出男氏、詩人・比較文学者の管啓次郎氏らとともに、東日本大震災をテーマにした朗読ツアー「見えない波」で欧州5都市を巡演。これまでにスロベニアの国際詩祭をはじめ、フランス、オランダ、クロアチア、スイス、イギリス、アメリカ、韓国など、各国の詩祭やイベントに招聘され、海外での作品発表や朗読を通じて国際的な交流を深めています。2018年には第68回H氏賞の選考委員を務めるなど、日本の詩壇においても重要な役割を担っています。

現代における新たな試み

近年は、共同詩や連詩といった複数人での創作にも意欲的に取り組んでいます。また、装幀家や写真家といった異分野のアーティストとのコラボレーションによる個展や共同展を開催し、詩の可能性を広げる活動を行っています。2016年秋からは、内外の詩人を招いた講演のデジタルアーカイブ化プロジェクト「LUNCH POEMS@DOKKYO」のディレクターとして、詩の普及と記録に貢献。さらに、2022年には国際ポエトリーサイト「Crossing Lines」を共同企画制作し、そのプランナーに就任するなど、現代における詩のあり方を多角的に探求し続けています。

石田瑞穂は、伝統的な詩の形式を踏まえつつも、現代的な感性と国際的な視野を持ち、常に新たな表現方法を模索する詩人です。彼の活動は、日本の現代詩の地平を広げるものとして注目されています。

もう一度検索