石綿による健康被害の救済に関する法律

石綿による健康被害の救済に関する法律

この法律は、石綿（アスベスト）による健康被害を被った人々と、その遺族の支援を目的としています。制定は2006年2月10日、施行は同年3月27日です。主な背景には、石綿を吸入することによって引き起こされる健康問題が社会的な問題として広がり、その救済のための法的措置が求められたことがあります。

特に、環境省と厚生労働省の方針に基づき、石綿による健康被害の特殊性を考慮し、迅速な救済を図るためにこの法律が整備されました。具体的には、医療費をはじめとする各種給付を通じて、被害者と遺族に対する経済的な援助が行われる仕組みです。支給を受けるためには、独立行政法人環境再生保全機構からの救済給付が必要となります。

支給対象者

この法律の支給対象となるのは、日本国内で石綿を吸入したことによって指定の疾病にかかった者やその遺族です。ただし、労災の対象者は除外されます。

指定疾病

具体的な指定疾病には以下が含まれます：

• - 中皮腫
• - 気管支または肺の悪性新生物（肺がん、気管支がん）
• - 石綿肺（著しい呼吸機能障害を伴うもの）
• - びまん性胸膜肥厚（著しい呼吸機能障害を伴うもの）

支給内容

給付内容としては、実際にかかった医療費の自己負担分、療養手当、葬祭料などがあります。具体的には以下のような支援が行われています：

• - 医療費：自己負担分全額（公費負担医療）
• - 療養手当：月額103,870円
• - 葬祭料：199,000円
• - 特別遺族弔慰金：施行日の前日（2006年3月26日）までに死亡した人の遺族に2,800,000円が支給されます。
• - 特別葬祭料：同様に199,000円。
• - 救済給付調整金：特定の期限内に指定疾病にかかり、2006年3月27日から2008年3月26日までに死亡した者の遺族に対して、医療費と療養手当の合計額から特別遺族弔慰金を差し引いた金額が支給されます。

さらに、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺やびまん性胸膜肥厚に関しては、施行日が2010年7月1日となり、支給の基準日が変更されています。

支給手続

支給を受けるためには、環境再生保全機構に対して、指定疾病にかかっていることの認定を申請し、石綿健康被害医療手帳を受け取る必要があります。その後、各種給付の申し込みを行います。なお、認定の有効期限は5年で、5年ごとに更新の手続きが必要です。

拠出金について

労災保険や船員保険の事業主は、一般拠出金を労働保険の納付と共に行う必要があります。これは石綿を利用していた全ての事業主に対して求められるものであり、特別拠出金も存在します。

特別遺族給付金は、労災保険の適用外で指定疾病に罹患し、2001年3月26日以前に死亡した場合でも申請が可能です。これにより、時効によって労災保険を受けられない遺族に対するさまざまな支援が行われています。

この法律は、石綿による健康被害に直面した方々にとって重要な支援の枠組みを形成しており、健康被害の救済をスムーズに進めるための基盤を提供しています。

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