砂川村B29爆撃機墜落事故

砂川村B29爆撃機墜落事故：1951年の悲劇とその後

1951年11月18日午後6時30分頃、東京都北多摩郡砂川村（現在の立川市）に、米軍横田基地を離陸したB29爆撃機が墜落するという痛ましい事故が発生しました。この事故は、多くの犠牲者と甚大な被害をもたらし、地域社会に深い傷痕を残しました。

事故の概要

爆弾を搭載したB29爆撃機は、横田基地を離陸後、砂川村西砂川地域に墜落しました。墜落に際し、機体に搭載されていた爆弾が誘爆、さらに燃料に引火し、大規模な火災が発生しました。爆発とそれに伴う衝撃波は凄まじく、半径1キロメートル圏内の建物に大きな被害をもたらしました。

具体的には、100棟を超える住宅や学校で窓ガラスが割れたり、雨戸が吹き飛んだりするなどの被害が発生しました。都営住宅や昭和飛行機工業の社員住宅、農家、さらには小学校までもがその影響を受けました。衝撃波は想像をはるかに超えるものであり、周辺住民は恐怖のどん底に突き落とされたことでしょう。

事故発生後、直ちに警察や周辺町村の消防団が現場に急行し、消火活動と負傷者の救護にあたりました。しかし、爆弾の誘爆により、横田基地の消防隊員10名と基地周辺住民5名が死亡するという痛ましい結果となりました。爆撃機乗員は全員無事だったものの、地上にいた人々は、瞬く間に降りかかった悲劇に抗う術もありませんでした。

初期報道では、墜落地点近傍の家屋3棟全焼、26棟全半壊と伝えられていましたが、その後、砂川村役場による発表では、全壊家屋数は36棟に及ぶとされました。また、墜落後数分後に二度目の大きな爆発があったという証言も残っています。米軍横田基地は、不発弾の可能性が高いとして、周辺住民に対し半径1キロメートル圏内の避難を勧告しました。この勧告の背景には、さらなる被害を防ぐための切実な危機感があったはずです。

事故の影響とその後

この事故の影響は、墜落現場周辺にとどまりませんでした。数キロメートル離れた青梅線拝島駅でも、数十枚の窓ガラスが割れる被害が発生しました。また、事故当時、拝島村立拝島小学校（現在の昭島市立拝島第一小学校）で映画上映会が行われており、児童らは衝撃に驚き、「原子爆弾だ」と騒然となったそうです。この出来事は、当時の社会情勢とあいまって、人々の心に深い恐怖と不安を与えたことでしょう。

砂川村B29爆撃機墜落事故は、多くの犠牲者を出した悲惨な出来事でした。この事故は、冷戦下の日本における米軍基地の存在、そして基地周辺住民の安全保障問題を改めて浮き彫りにしました。事故から70年以上が経過した現在も、この事故は人々の記憶に深く刻まれ、平和の大切さを私たちに訴えかけています。この事故を教訓に、二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、私たちは平和への意識を高め続けなければなりません。

関連項目

日本におけるアメリカ軍機事故の一覧
B29爆撃機
立川基地
横田基地

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