砂町

砂町（すなまち）

砂町は、かつて東京府南葛飾郡に存在した町であり、現在の東京都江東区東部に位置する旧地名です。現在の北砂、南砂、新砂、東砂の地域にあたります。

歴史

沿革

砂町の歴史は、1889年（明治22年）の町村制施行に始まります。この時、亀高村、又兵衛新田、荻新田、太郎兵衛新田、中田新田、大塚新田、治兵衛新田、砂村新田、八郎右衛門新田の全域と、以下の5村の一部が合併し、南葛飾郡砂村が発足しました。

久左衛門新田（一部は東京市深川区へ）
八右衛門新田（一部は東京市深川区、東京市本所区へ）
永代新田（一部は東京市深川区へ）
平井新田（一部は東京市深川区へ）
南本所出村飛地（一部は東京市本所区、亀戸村、大島村へ）

その後、1897年（明治30年）と1906年（明治39年）には埋立地が編入され、1921年（大正10年）7月1日には砂村が町制を施行し、砂町となりました。この際に大字名が改称され、大字砂村新田は本砂町に、大字八郎右衛門新田は四十町に、その他の大字は「新田」の文字が外されました。

1932年（昭和7年）10月1日には、南葛飾郡全域が東京市に編入され、砂町は城東区の一部となりました。さらに1947年（昭和22年）3月15日には、城東区が深川区と合併して江東区が新設され、現在に至ります。

名前の由来

砂町の名前は、江戸時代に砂村新左衛門一族が宝六島を開拓したことに由来します。開拓者の名前にちなんで「砂村」と名付けられ、町制施行の際に「砂町」となりました。

東京市編入後の砂町

東京市に編入された際、砂町は従来の大字を廃止し、「北砂町」と「南砂町」に再編されました。その後、住宅地や工業地帯としての性格を強めていましたが、東京メトロ東西線の南砂町駅が開業したことで、住宅地としての開発が加速しました。現在では、南砂町駅周辺を中心に発展を遂げ、再開発も進んでいます。

現在の行政区分では、南砂の大部分、新砂、東砂の一部が「南砂地区」に、北砂、東砂が「砂町地区」に分かれており、それぞれ出張所の管轄が異なります。また、南砂は江東区の都市核、北砂には砂町銀座地域核があります。

現在の砂町

現在の砂町は、北砂、南砂、新砂、東砂の4つの地域に分かれています。

北砂

北砂は、砂町銀座商店街で知られています。かつて小名木川貨物駅があった場所は再開発され、アリオ北砂として生まれ変わりました。かつては低層住宅が中心でしたが、近年では中高層マンションも建設され、古い一軒家が新しいものに建て替えられる傾向にあります。一般的に「砂町」と言えば、この地域を連想する人が多いです。人口は約35,000人です。

南砂

南砂は、江東区東部の中心的な地域です。東京メトロ東西線の南砂町駅があり、トピレックプラザなどの大型商業施設が立地しています。都心へのアクセスが良いことから、近年は大規模な高層マンションが多数建設されましたが、小学校問題などからマンション建設は事実上規制されています。仙台堀川公園など緑豊かな場所も多く、人口は約40,000人です。

新砂

新砂は、南砂町駅周辺の再開発によって市街地化が進んだ地域です。北部にはオフィスビルが立ち並ぶビジネス街があり、南部には工業地帯があります。南砂町駅周辺の東部は再開発が進み、大規模な高層マンションや医療施設、高齢者医療センターなどが整備されています。また、2008年には大型商業施設「SUNAMO」がオープンし、注目を集めています。人口は約5,000人です。

東砂

東砂は、荒川に面した地域で、川沿いには釣り船店などが点在します。西部のトピレックプラザに隣接する地域は南砂と同様の雰囲気を持ち、南砂町駅周辺の再開発によって大規模マンションが建設されました。ヨークマートなどの商業施設もあります。人口は約35,000人です。

産業

江戸時代の砂村は、農業が盛んな地域でした。多くの篤農家によって野菜の品種改良が行われ、砂村の名を冠した野菜が数多く作られました。

砂村早生茄子

三河国の折戸茄子を導入し改良したとされる品種です。早生で成長が早く、豊産性であったため江戸時代には広く栽培されましたが、その後、改良品種が登場したことで次第に生産量が減少し、絶滅しました。

砂村胡瓜

関西地方の胡瓜品種を導入して改良したとされています。しかし、こちらも改良種に押され、絶滅しました。

砂村一本葱

関西地方の葉葱を改良したと伝えられる葱で、現在の一本葱の多くは砂村葱の改良種であると言われています。赤柄や黒柄など多くの品種が作られましたが、現在でも一部が残存しています。

関連項目

東京都の廃止市町村一覧

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