破虜湖の戦い

破虜湖の戦い

破虜湖の戦い（はろこのたたかい）は、朝鮮戦争中の1951年5月17日に始まった、国連軍と中国人民志願軍による戦闘です。

背景

1951年、龍門山の戦いで敗北した中国軍第63軍は、華川方面へと後退を開始しました。これに対し、韓国軍第6師団は張都暎将軍の指揮のもと、中国軍を追撃しました。龍門山の戦いでの第6師団の奮闘は、中国軍の大規模な突破を阻止し、戦線の分断と首都圏への脅威を未然に防ぐ上で重要な役割を果たしました。特に、第6師団第2連隊は3日間持ちこたえ、中国軍に連続的な打撃を与えることで、主抵抗線を誤認させるという決定的な貢献をしました。

編制

国連軍
第9軍団
軍団長：ホッジ少将
第9師団
師団長：張都暎准将
副師団長：林富澤大領
第2連隊：連隊長代理：宋大厚中領 (5月25日付で連隊長就任と同時に大領昇進)
第7連隊：連隊長：梁仲鎬大領
第19連隊：連隊長：林益淳大領

中国人民志願軍
第63軍
軍長：傳崇碧
第187師
第188師
第189師

戦闘の経過

韓国軍第6師団は、米軍第9軍団とともに華川への進撃を開始し、北漢江西側の鶏冠山、北培山、加徳山、芝岩里を攻撃目標としました。5月25日、第6師団は第2連隊と第7連隊が鶏冠山・北培山の高地を攻撃する一方で、第19連隊を北培山の後方へ迂回させ、中国軍の退路を遮断する作戦を実行しました。

米軍の航空偵察により、華川ダム（破虜湖）の南側を、1万〜1万2000名もの中国軍部隊が車両や野砲とともに移動していることが判明しました。これを受け、第19連隊は芝岩里を西側から攻撃し、第6師団主力は華川ダムを攻撃するために春川に集結しました。

5月27日、米軍の砲撃と空襲支援のもと、第6師団主力は攻撃を開始し、中国軍第63軍の抵抗を排除しながらカンザスラインまで進出しました。逃走する中国軍を追撃し、張都暎将軍率いる第6師団は、中国軍に2万人以上の死者と2,617人の捕虜を出すという大打撃を与えました。この戦いにおいて、韓国軍は中国兵の遺体をダム湖に水葬したため、湖の水が赤く染まったという逸話が残っています。

張都暎准将は、当時の状況を「退却する中国軍を追撃する中で、道端でうずくまっている中国兵をゴミ拾いのようにトラックに積んでいった。小隊規模の韓国軍が、中国軍の大隊規模の部隊を捕虜にするという珍しい光景が見られた」と証言しています。

この破虜湖の戦いは、朝鮮戦争において韓国軍が挙げた最も大きな勝利の一つとされています。李承晩大統領は、この戦いの勝利を称え、華川ダムを「野蛮な外敵を打ち破った湖」という意味を込めて「破虜湖」と命名しました。現在も、李承晩大統領自らが揮毫した「破虜湖」記念碑が残されています。

5月28日、韓国軍第6師団は華川ダム西側に進出し、中国軍主力の退却を確認しました。しかし、目標としていた華川の占領が大幅に遅れたため、中国軍を完全に包囲することはできませんでした。

参考文献

脚注

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