磨石

磨石（すりいし）とは

磨石とは、主に縄文時代に用いられた、木の実などの堅い食物をすりつぶして粉にするための礫石器です。特にクリ、クルミ、ドングリといった堅果類を加工する際に活躍しました。細長い棒状のものは「すり棒」と呼ばれることもあります。

磨石の特徴

磨石は、球状や円盤状の自然の石（転石や河原石）を、ほぼそのままの形で利用している点が特徴です。加工を施さず、原石の形状を活かしているため、表面には使用による擦れた痕跡が残ることが多く見られます。大きさは、大人の男性の握りこぶしより少し大きいくらいが一般的です。多くの場合、石皿と組み合わせて使用されました。このため、磨石は集落遺跡から出土することがほとんどです。

縄文時代の食文化

山形県の押出遺跡や長野県の大崎遺跡からは、磨石によって作られたとみられる堅果の粉を用いた食品、いわゆる「縄文クッキー」の炭化したものが出土しています。この発見は、縄文時代において粉食文化が広範囲に普及していたことを示唆しています。

磨石の出土は圧倒的に縄文時代に多いですが、石皿とのセットでの出現は、旧[[石器時代]]にまで遡ることが確認されています。これは、磨石が長い歴史の中で人々の生活に深く根ざしていたことを物語っています。

海外の磨石

メソアメリカの遺跡で発見される磨石（特にすり棒）は、「マノ（mano）」と呼ばれています。また、北米の遺跡でも同様に「マノ」という呼称が用いられることがあります。

まとめ

磨石は、縄文時代の人々の食生活を支えた重要な道具の一つです。自然の石を活かし、シンプルながらも実用的な形状は、当時の生活の知恵を伝えています。磨石の発見は、縄文時代の人々がどのように食物を加工し、食文化を築いてきたかを理解する上で、非常に重要な手がかりとなります。

関連項目

考古資料
遺物
石器
礫石器
* 縄文クッキー

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