磯子カンツリークラブ

磯子カンツリークラブ

磯子カンツリークラブは、神奈川県横浜市磯子区洋光台に所在する、緑豊かなゴルフ場です。

概要と歴史

当クラブの歴史は、1957年（昭和32年）に株式会社千代田組が、横浜市磯子区田中に所有していた土地でのゴルフ場開発を構想したことから始まりました。当時の磯子エリアは鉄道路線がなく、横浜市が根岸湾の埋め立てや工業団地整備、さらには根岸線の延伸を進めている時期でした。宅地造成の経験を持っていた千代田組は、そのノウハウを活かしてゴルフ場建設に乗り出します。しかし、当初計画された田中での開発は、用地の確保が困難であったため断念せざるを得ませんでした。

その後、新たな候補地として磯子区栗木（現在の磯子区洋光台）が探し出されました。この地でのコース設計を依頼された舘粲児氏は、地質が岩盤層である点に言及しつつも、「まずまずの条件だ」と評価し、計画は前進します。1957年6月25日には、ゴルフ場事業を運営するための母体会社として「横浜観光土地株式会社」が設立されました。

造成工事は1958年（昭和33年）4月に開始されました。最新の土木重機が導入されたものの、起伏が多く岩盤が露出している土地であったため、工事は困難を極めました。苦労の末、1959年（昭和34年）8月15日に9ホールのコースが仮オープンにこぎつけます。そして翌年の1960年（昭和35年）5月15日には、念願の18ホールが完成し、磯子カンツリークラブは正式な開場を迎えました。

しかし、開場したのも束の間、コースは大規模な改修を施されることになります。これは、開場当初の設計から完全に生まれ変わり、現在では原型を残すホールは一つもない、と言われるほどの変貌を遂げた「大胆な成形手術」と表現される改修でした。この一大プロジェクトを主導し、コースの平坦化と近代化に尽力したのが、コース設計家の大久保昌氏でした。

コースと景観

磯子カンツリークラブのコースは、横浜市内の住宅地に隣接するという優れた立地にありながら、自然の地形を巧みに活かした丘陵コースです。コースからは東京湾を一望できるなど、素晴らしい眺望も楽しめます。開場後に大久保昌氏によって行われた大規模な改造により、現在のゴルファーにとってより戦略的かつ快適にプレーできるレイアウトとなっています。

設計者

開場時のコース設計を手掛けた舘粲児氏は、戦前は宮内省内匠寮の技手として、皇居の吹上御苑や新宿御苑に設けられていたゴルフ場の管理に携わった経歴を持ちます。その後は横浜市役所で造園技師を務めました。

コースの改造設計を担当した大久保昌氏は、千葉農業専門学校（現・千葉大学園芸学部）を卒業後、埼玉県朝霞のキャンプドレイクに勤務し、そこでコース設計などを学びました。日本の著名なコース設計家である井上誠一氏の指導も受け、1972年（昭和47年）以降はプロの設計家として、新規コースの設計や既存コースの改修を数多く手掛けました。自身が手掛けた磯子カンツリークラブの改造について、大久保昌氏は機械力に限りがあった時代の舘氏の設計を補い、よりプレーしやすいコースへと改良したと語ったと伝えられています。

コース情報

開場日：1960年5月15日
設計者：大久保昌（開場時 舘粲児）
面積：約660,000平方メートル（約19.9万坪）
コースタイプ：丘陵コース
コース：18ホール、パー72、6,627ヤード
コースレート：71.1
グリーン：2グリーン、ベント（ペンクロス）
プレースタイル：乗用カート（5人乗り）による全組キャディ付きプレー
練習場：6打席、40ヤード
休場日：毎週月曜日、12月31日、1月1日

クラブ情報

クラブハウス面積：約2,013平方メートル（約608.9坪）
クラブハウス設計：リゾートコネクションズ
クラブハウス施工：千代田アクタス

アクセス

鉄道：JR根岸線・洋光台駅よりタクシーで約5分
* 道路：横浜横須賀道路・港南台インターチェンジより約2.5km（所要時間約3分）

磯子カンツリークラブは、その豊かな歴史と、東京湾を望む美しい景観、そして挑戦的なコースレイアウトで、多くのゴルファーに愛されています。

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