磯村哲

磯村哲（いそむら てつ）は、1914年12月9日に生まれ、1997年8月23日に没した、日本の著名な法学者です。兵庫県出身で、京都大学名誉教授の称号を持ちます。彼の学術的な業績は、ドイツ私法、民法、そして法社会学の分野に及び、特に法社会学における貢献は、日本の法学研究に大きな影響を与えました。

学歴と職歴

磯村哲は、住吉中学校（現在の大阪府立住吉高等学校）、大阪高等学校（現在の大阪大学）を経て、1939年に京都帝国大学法学部を卒業しました。卒業後、同大学の法学部助手、助教授を経て、1951年に教授に就任。民法第四講座を担当し、その後、ドイツ法、法社会学講座も担当しました。1978年に京都大学を定年退官し、名誉教授となりました。その後、神戸学院大学法学部教授、特任教授、非常勤講師として教鞭を執り続けました。

研究活動

磯村の専門は、ドイツ私法、民法、そして法社会学です。彼の研究は、前近代から近現代にかけての法律制度の学説史を対象としており、その緻密な分析は、法学界に大きな影響を与えました。特に、マックス・ヴェーバーと並ぶ法社会学の創始者であるオイゲン・エールリッヒの研究に取り組み、日本の法社会学研究の発展に大きく寄与しました。彼の法学博士論文「社会法学の展開と構造」は、実定法学者と法哲学者の双方から、完成度の高い名著として高く評価されています。また、弟子の一人である河上倫逸によって、エールリッヒの著書『法社会学の基礎理論』と『法律的論理』が翻訳され、磯村に献呈されています。

磯村哲の業績

磯村は、京都大学で民法と共にドイツ法を講じており、ドイツ法学の第一人者である村上淳一も、東京大学から国内留学の形で磯村に師事しました。これは、磯村が日本の法学界に与えた影響の大きさを物語るエピソードと言えるでしょう。

1987年には、その功績が認められ、勲二等旭日重光章を受章しました。また、1986年からは日本学士院会員としても活動しました。没後、正四位を叙されています。

家族

息子は、神戸大学名誉教授であり、早稲田大学大学院法務研究科教授の磯村保です。

著書

磯村哲は、数多くの著作を残しています。

単著
『エールリッヒの法社会学（上）（下）』（日本評論社・1953年）
『社会法学の展開と構造』（日本評論社・1975年）
『錯誤論考』（有斐閣・1997年）
編著
『現代法学講義』（有斐閣・1978年）
共編著
『注釈民法12債権3』（有斐閣・1970年）

これらの著作は、磯村の学問的な探求の深さと、法学への情熱を伝えています。

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