磯村武亮

磯村武亮：陸軍軍人としての生涯と音楽への愛

磯村武亮（いそむら たけすけ）は、1898年1月15日に東京で生まれ、1945年7月10日に戦死した日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍中将。陸軍大将であった磯村年の長男として、そのキャリアをスタートさせました。

軍歴

磯村は陸軍中央幼年学校予科、本科を経て、1918年5月に陸軍士官学校（30期）を卒業。同年12月には砲兵少尉に任官し、野砲兵第1連隊に配属されました。その後、1921年11月には陸軍砲工学校高等科を卒業。さらに1927年12月には陸軍大学校（39期）を首席で卒業するという、まさにエリート街道を歩みます。

1928年12月、教育総監部付勤務となり、砲兵監部員を経てフランスに駐在。1932年8月には砲兵少佐に昇進しました。1934年1月には参謀本部員に就任し、トルコ大使館付武官に転任。1937年8月には砲兵中佐に進級しています。1938年12月、参謀本部付となり、1939年3月には砲兵大佐に昇進。同年4月、関東軍参謀に転じ、参謀本部ロシア課長を経て、1941年10月、野砲兵第24連隊長に発令され太平洋戦争に出征。

太平洋戦争中は、1942年9月に第15軍軍政監部総務部長として出征。1943年3月には陸軍少将に進級し、緬甸方面軍参謀副長となります。同年3月から8月まで、軍政監部総務部長を兼務し、さらにビルマ大使館付武官も兼務しました。1944年3月、第7方面軍参謀副長兼軍政監部総務部長に就任し、占領地の軍政実施に従事。1945年6月、陸軍兵器行政本部付に転じ、同年7月5日、中部軍管区参謀副長となりますが、そのわずか5日後の7月10日、搭乗機が山梨県上空で撃墜され戦死。陸軍中将に進級しました。

人物像

磯村は軍人としての一面だけでなく、クラシック音楽を愛する繊細な一面も持ち合わせていました。亡くなる前々日にも、親交のあったサイゴン総領事・河野達一の自邸で、夕食後にチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」のレコードを所望し、熱心に聴き入っていた姿が、河野の妻である鶴代によって書き残されています。

親族

磯村の親族には、著名な人物がいます。

妻: 磯村和代（松平定振の娘）
長男: 磯村尚徳（NHKニュースキャスター）
義兄: 松平定堯（陸軍大佐）
甥: 松平定知（NHKアナウンサー）

まとめ

磯村武亮は、エリート軍人として輝かしいキャリアを築きながらも、音楽を愛し、家族を大切にする一面も持ち合わせた人物でした。太平洋戦争という激動の時代に翻弄され、志半ばで戦死した彼の生涯は、私たちに平和の尊さを改めて教えてくれます。

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