社会タイムス

社会タイムスの歴史と影響

社会タイムス（しゃかいたいむす）は、日本の左派社会党に関連した政治新聞で、その創刊当初は左派社会党の機関紙として位置づけられていました。1952年、江田三郎が中心となり、社会主義政党にとって日刊機関紙の必要性が認識されたことを背景に創刊されました。社会タイムス社という独立した会社が設立され、その社長には文芸評論家の青野季吉が就任しました。

創刊当初から、社会タイムスは多彩な執筆陣を擁しており、特にレッドパージで新聞社を退職させられた優れたジャーナリストたちが参加していました。その結果、発行部数は十数万部に達し、社会運動や逆コース、再軍備に反対する論調を展開しました。特に当時あまり報じられない社会運動についての情報を多く提供したことは、発行目的の一つでもありました。しかし、新産別の細谷松太の予言通り、経営は早々に行き詰まりました。

当初、社会タイムス社は左派社会党の支部や労働組合に販売を委託していましたが、新聞を無料で配布することで購読料が上がらず、2年後には経営不振から倒産に追い込まれました。この倒産は、左派社会党内における江田三郎の信頼感を低下させる結果につながり、その後の構造改革論争の要因ともなりました。1957年に東京で新たに社会タイムス新社が設立され、週刊の形で再発行が試みられましたが、これも1960年には終息を迎えました。

一方、大阪では社会タイムスが細々と続いていました。関西版は社会タイムス社関西総局が発行していましたが、社会タイムス共同印刷社に引き継がれたものの、経営悪化から廃刊の決定が下されました。その後、社員たちの反発から、1966年に独立を果たし、週刊としての社会タイムスが復活しました。

新たに発行された週刊社会タイムスは、最盛期には2万部に達しました。編集部は太田派社会主義協会を中心に、社会党の動向や社会問題を扱い、地域のニーズに答える内容を重視しました。しかし、関西の日本共産党の影響が強まる中、社公民路線を巡る争いが勃発し、編集部は分裂しました。反社公民連合派は「ぴーぷる」を創刊し、社公民連合派の社会タイムスは1995年12月に「長期休刊」となり、40年以上の歴史に幕を下ろしました。

社会タイムスに関与した多くのジャーナリストや市民運動家の存在は、この新聞が日本のジャーナリズムや社会運動史に一定の影響を与えたことを物語っています。特に、1970年代に社会党機関紙局長に就任した山本政弘は、社会タイムスの教訓を踏まえ機関紙活動の重要性を再認識し、その後の「社会新報」の拡大に寄与したとされています。彼の時代には、定期配布や紙代回収を中心とした方針が強調され、社会タイムスの失敗が二度と繰り返されないように努力がなされました。

本書では、社会タイムスの歴史を通じて、政治新聞の役割、社会運動との関連、そして左派社会党の内情について詳しく掘り下げていきます。

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