社会保険庁 (琉球政府)

社会保険庁は、1965年に琉球政府厚生局の外局として設置された機関です。その主な目的は、各種社会保険事業の運営を行うことでした。設立当初は「保険庁」という名称でしたが、1966年に現在の「社会保険庁」に改称されました。社会保険事務所は、那覇市、コザ市、名護市、平良市、石垣市に設置され、各地域の社会保険業務を担いました。

社会保険庁の所掌事務は、基本的には本土の社会保険庁と同様でしたが、琉球政府の特殊な事情から、本土の社会保険庁が管轄しない「労働者災害補償保険」「雇用保険」「公務員共済」といった保険事業も管轄していました。これは、当時の沖縄が本土とは異なる行政制度を持っていたことに起因します。

しかし、1970年に沖縄の日本への返還が正式に決定したことを受け、社会保険庁はこれらの追加的な保険事業を整理することになりました。具体的には、「労働者災害補償保険」「雇用保険」「公務員共済」の管轄を総務局や労働局に移管し、本土復帰後のスムーズな移行に備えました。そして、1972年の本土復帰後、社会保険庁の業務は本土の社会保険庁に引き継がれ、その役割を終えました。

社会保険庁の歴史は、沖縄の戦後から本土復帰という歴史的な変遷を色濃く反映しています。その設立から返還準備、そして本土復帰後の業務移管まで、社会保険庁は沖縄の社会保障制度において重要な役割を果たしました。

参考文献
照屋栄一『沖縄行政機構変遷史 明治12年～昭和59年』照屋栄一、1984年8月15日。NDLJP:9775065。

関連項目
琉球政府
厚生局
社会保険庁（厚生労働省外局）
* 沖縄社会保険事務局

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