平良市

平良市（ひららし）

平良市は、かつて沖縄県宮古島に存在した市です。2005年10月1日に、城辺町、下地町、上野村、伊良部町と合併し、宮古島市となりました。合併後は、宮古島市の中心として市役所が置かれています。

地理

平良市は、宮古島の北部と、池間島、大神島の2つの島を行政区域としていました。これらの島々は、それぞれ独特の自然と文化を持っており、平良市の多様性を形作っていました。

行政区

平良市は、以下の15の字（あざ）に区分されていました。

池間（いけま）
前里（まえざと）
大神（おおがみ）
狩俣（かりまた）
島尻（しまじり）
大浦（おおうら）
西原（にしはら）
荷川取（にかどり）
東仲宗根（ひがしなかそね）
西仲宗根（にしなかそね）
西里（にしざと）
下里（しもさと）
久貝（くがい）
松原（まつばら）
東仲宗根添（ひがしなかそねぞえ）

合併後、これらの行政区は「宮古島市平良字○○」という名称に変わりました。

歴史

明治以前

1390年、宮古島の豪族である与那覇勢頭豊見親真佐久が、初めて中山王察度に朝貢を行ったとされています。「豊見親」とは、宮古諸島の地域の豪族をまとめる人物に与えられた称号でした。

1500年に八重山でオヤケアカハチの乱が起こると、鎮圧に貢献した宮古島の豪族・仲宗根豊見親が琉球王府の尚円王から宮古島の頭職に任命されました。しかし、仲宗根豊見親の死後、後を継いだ長男・仲屋金盛が1532年に金志川那喜太知豊見親を殺害した（大嶽城の変）ことをきっかけに、「豊見親」の称号は廃止され、琉球王府が任命する頭職が統治を行うことになりました。これにより、宮古諸島と八重山諸島は実質的に琉球王国の支配下に入ったとされています。

1628年には、島内が平良、砂川、下地の3つの間切に分けられ、平良市域の大部分は平良間切に属していました。

明治以降

1908年4月1日：島嶼町村制により平良村が誕生。この際、平良間切に加え、砂川間切の一部（西里、下里、松原）と下地間切の一部（久貝）が編入されました。また、多良間島と水納島も同村域となりました。
1913年4月1日：多良間島と水納島が分村し、多良間村となりました。
1924年2月1日：町制施行により平良町となりました。
1947年3月7日：市制施行により平良市となりました。
1956年：宮古空港が開港しました。
1959年9月：宮古島台風により、宮古島で最低気圧908.1ミリバールが観測されました。
1964年：琉球放送がラジオ中継放送局を開局しました。
1966年9月：第2宮古島台風により、宮古島で最大瞬間風速85.3m/sが観測され、これは日本観測史上最大の記録です。
1967年12月22日：沖縄放送協会（現在のNHK沖縄放送局）が宮古島でテレビ放送を開始しました。
1968年9月：第3宮古島台風により、大きな被害が発生しました。
1972年6月：NHKがラジオ第1と第2の放送を開始しました。
1975年4月：宮古島の県道が国道390号に昇格しました。
1976年12月22日：NHKテレビの沖縄本島・日本本土との同時放送が開始、電話も即時通話可能になりました。
1978年5月：宮古島初のケーブルテレビ局が開局しました。
1978年12月：宮古空港〜那覇空港間にジェット機が就航しました。
1985年4月：第1回宮古島トライアスロン大会が開催されました。
1989年7月：宮古空港と初の本土直行便となる東京（羽田空港）便が就航しました。
1992年1月：池間島との間に池間大橋が開通しました。
1992年2月：宮古島で初のプロ野球オープン戦が開催されました。
1993年2月：プロ野球オリックスが宮古島で初のキャンプを実施しました。
1993年12月16日：琉球放送と沖縄テレビが宮古島でテレビ放送を開始しました。
2005年10月1日：城辺町、下地町、上野村、伊良部町と合併し、宮古島市となりました。平良市は廃止され、市役所は宮古島市役所となりました。

隣接していた自治体

現在はすべて宮古島市となっています。

下地町
城辺町
上野村

行政

市長（最終）

伊志嶺亮（合併後、初代宮古島市長）

姉妹都市・提携都市

これらの都市は合併後の宮古島市でもそのまま継続されています。

国内

津山市（岡山県）：1965年3月15日姉妹都市締結
世田谷区（東京都）：友好都市締結
室蘭市（北海道）：1998年8月3日交流都市締結

海外

マウイ郡（アメリカ合衆国ハワイ州）：1965年6月24日姉妹都市締結

現在の宮古島市平良地域

平良市は消滅しましたが、その地域は宮古島市の一部として、引き続き重要な役割を果たしています。

交通

空港

宮古空港

道路

国道390号
沖縄県道78号平良城辺線（主要地方道）
沖縄県道83号保良西里線（主要地方道）
沖縄県道190号平良新里線
沖縄県道191号与那覇上地線
沖縄県道192号平良久松港線
沖縄県道194号鏡原増原線
沖縄県道195号野原越七原線
沖縄県道200号川満山中線
沖縄県道201号友利線
沖縄県道230号池間大浦線（池間大橋）
沖縄県道243号高野西里線
沖縄県道252号平良下地島空港線（伊良部大橋が基となる県道・予定）

港湾

平良港

教育

高等学校

沖縄県立宮古高等学校
沖縄県立宮古工業高等学校
沖縄県立宮古総合実業高等学校

中学校

宮古島市立平良中学校
宮古島市立北中学校
宮古島市立西辺中学校
宮古島市立狩俣中学校
宮古島市立久松中学校
宮古島市立鏡原中学校
宮古島市立池間中学校（池間島）

小学校

宮古島市立平良第一小学校
宮古島市立平良北小学校
宮古島市立東小学校
宮古島市立西辺小学校
宮古島市立狩俣小学校
宮古島市立宮島小学校
宮古島市立久松小学校
宮古島市立鏡原小学校
宮古島市立宮原小学校
宮古島市立池間小学校（池間島）

小中学校

宮古島市立大神小中学校（大神島）

名所・旧跡・催し・祭り

名所

西平安名岬
池間大橋
人頭税石：別名「フバカリ石」とも呼ばれ、かつて琉球王府が人頭税を課したとされる石。ただし、この伝承は後世に作られたもので、史実ではありません。
ガングリーユマタ：「カタパズ・ピンザ」という妖怪が現れるとされる交差点。この妖怪に出会うと近いうちに死んでしまうと恐れられていました。名前は、かつて葬式に使われた道具を納める小屋があったことに由来します。

旧跡

漲水御嶽（はりみずうたき）：宮古島を作った神々を祀る霊場で、島の人々の信仰を集めています。石垣は、1500年のオヤケアカハチの乱の戦勝記念として仲宗根豊見親が奉納したと伝えられています。
久松みゃーか：14世紀から16世紀頃に造られたと見られる支石墓です。
大主御嶽（うはるずうたき）：宮古島の人々の運命を司る神を祀る御嶽。池間島と字西原、伊良部町の佐良浜にも存在します。
大和井（やまとがー）：国指定の史跡。陥没ドリーネを利用した泉を石積みで囲んだもので、宮古島で最も手を凝らした井戸です。
盛加井（むいかがー）：平良市指定文化財・史跡。千年以上前から使用されていた井戸です。
トーガー：非常に水量が豊富な井戸で、集落の入口東側にあります。この井戸は、13〜14世紀に中国から移住した人々が掘り当てたという伝説があります。

催し

全日本トライアスロン宮古島大会

祭り

宮古まつり
八重干瀬まつり

旧平良市出身の有名人

下地幹郎（衆議院議員・政治団体「そうぞう」代表）
垣花正（元ニッポン放送アナウンサー）
上里一将（サッカー選手）
池間誠（経済学者、一橋大学名誉教授）
砂川惠伸（法学者、琉球大学名誉教授、元琉球大学長）
砂川裕紀（埼玉県副知事）
友利新（医師・タレント）

脚注

注釈

出典

参考文献

歴代知事編纂会 編集『日本の歴代市長 : 市制施行百年の歩み』 第3、歴代知事編纂会、1983年。
宮古地区市町村合併協議会

外部リンク

『平良[市]』 - コトバンク
『平良』 - コトバンク

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