祇園甲部

祇園甲部の概要

祇園甲部（ぎおんこうぶ）は、京都市東山区に位置する、日本で最も有名な花街の一つです。ここでは、伝統的な京舞や芸妓が活躍し、観光客や地元の人々に愛されています。祇園甲部の発展は、寛永年間（1624年 - 1645年）に遡り、当時は八坂神社の門前に水茶屋が存在したことから始まります。

歴史的な成り立ち

祇園甲部の歴史は深く、初めは「祇園町」として知られた地域で、茶立女と呼ばれる女性たちが茶屋で働いていました。1661年から1673年の寛文年間には、芝居小屋が建設され、さらに四条通や大和大路通にも茶屋がオープンしました。1732年に正式な営業許可が下りると、祇園は次第に繁栄し、江戸末期には500軒もの茶屋と1000人以上の芸妓や舞妓がいたと言われています。

明治の初めに東京大都市移転の影響を受けた祇園ですが、一力亭の九代目当主・杉浦治郎右衛門が「祇園甲部歌舞会」を設立し、芸妓の自立を促進したことで、再び光を見ました。その後、京都博覧会の一環として「都をどり」を創設し、大きな文化イベントへと成長しました。この都をどりの振り付けは、三代目井上八千代氏が担当しました。現在でも、祇園甲部では井上流が舞の流儀として受け継がれています。

昭和以降の変遷

大正元年の貸座敷取締規制改正によって茶屋営業が制限され、戦後の1945年には営業を再開し、その後も「都をどり」が再会されました。しかし、昭和30年代から40年代にかけては、花街の規模が縮小し、多くの茶屋がビルなどに変わっていきました。さらに、バースナックや風俗店の進出により、景観も悪化しました。

新橋地区では住民が町並み保存に力を入れ、1976年には重要伝統的建造物群保護地区に認定されました。一方で、南側の祇園町は乱開発を免れ、歴史的景観特別修景地区に指定されました。近年、舞妓の数は減少しましたが、徐々に増加し、現在では30人弱にまで回復しています。

教育活動と名人たち

祇園は多くの著名人や名妓を輩出し、特に芸妓たちは歴史の中で重要な役割を果たしてきました。大石内蔵助が一力亭で遊んだ話や、高杉晋作が井筒屋の芸妓に思いを寄せたことは有名です。また、江戸末期には新政府の志士たちが訪れました。

明治期には「加藤楼」のお雪（雪香）がアメリカの財閥と結婚し、後に「モルガンお雪」として名を馳せました。近年では、ジャズシンガーの真箏や売花奨励賞を受賞した紗月なども、その存在感を放っています。現在、祇園甲部芸妓組合の会長には井上流名取のまめ鶴が就任しています。

主要行事と文化

祇園甲部では様々な行事が開催されます。特に「都をどり」は大変な人気で、毎年多くの人々が訪れています。その他にも、初寄りや祇園祭、顔見世総見などの伝統行事が行われ、地元の文化を育んでいます。

伝統と現代が交わる祇園甲部は、これからも多くの人々に支持され、愛され続けていくでしょう。

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