神々の深き欲望

神々の深き欲望

『神々の深き欲望』（かみがみのふかきよくぼう）は、1968年に公開された日本の映画で、監督は今村昌平。今村プロダクションによって制作され、日活が配給を担当したこの作品は、カラーとワイドで175分の長さを誇ります。

制作の背景

本作の基となったのは、1962年に俳優小劇場で上演された『パラジ 神々と豚々』であり、今村はこの作品をもとに構想に6年、撮影には2年を要して映画化しました。製作には社団法人・映画輸出振興協会からの融資が関与しましたが、撮影中に予算が大幅に超過し、今村プロダクションは経済的危機に陥る結果となりました。このため、今村はしばらくの間、映画制作から距離を置くことを余儀なくされました。

本作は今村作品で初めてのカラー映画であり、沖縄県の南大東島や波照間島での撮影においては、赤土や太陽の過酷な暑さを表現するため、赤みのあるアグファ社のカラーフィルムが使用されました。特に南大東島では、廃車になっていた蒸気機関車をディーゼル機関車で押して撮影する工夫がなされました。

嵐寛寿郎の告白

撮影の厳しさについては、俳優の嵐寛寿郎が竹中労著の『鞍馬天狗のおじさんは』で語っており、撮影が予定より大幅に延び、長期間にわたり苦労したことを明かしています。また、作品の中での演技力や出来映えについても高く評価され、ブルーリボン助演男優賞を受賞したことや、キネマ旬報ベストワンに選出されたことを挙げていました。

受賞歴と評価

本作は、キネマ旬報のベストテンで1位にランクインし、さらに毎日映画コンクールでは日本映画大賞や脚本賞、助演男優賞を受賞しました。また、1999年の「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編」においても高い評価を受けました。

あらすじ

物語は、現代文明から遠く離れた南海の孤島・クラゲ島が舞台。原始的な農耕と土俗信仰を基にした島民の生活に、近代化がどのように影響を与えるのか、そして日本人の根源的な生と性が描かれています。物語は、暴風と津波がクラゲ島を襲い、神事を司る太根吉が次第に島の神々の怒りを引き起こす様子から始まります。さらに、東京からやってきた測量技師・刈谷が島民と関わるうちに、彼自身が島の生活に溶け込んでいく様子や、個々の人間関係のもつれが展開されます。

キャスト

主要キャストには、太根吉を演じた三國連太郎や、亀太郎を演じた河原崎長一郎、東京からの測量技師を演じる北村和夫などが揃い、その他にも多くの個性的なキャストが登場します。彼らの熱演が、この映画に深い味わいを与えています。

まとめ

『神々の深き欲望』は、映像美とストーリーの両方で高く評価され続けている名作であり、監督の今村昌平の才覚が光る作品です。映画が放つメッセージは、今でも多くの人々に感動を与え続けています。

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