神の掟

神の掟

『神の掟』（原題: That's the Way God Planned It）は、ソウル/R&Bの巨匠、ビリー・プレストンが1969年に発表した重要なスタジオ・アルバムです。

アップル・レコード移籍第一弾

本作は、彼がビートルズが設立したアップル・レコードへ移籍してから初めてリリースした作品として知られています。このレーベルでの活動は、プレストンのキャリアにおいて新たな章を開くこととなりました。

タイトル・トラックの成功

アルバムのタイトルにもなっている楽曲「神の掟 (That's the Way God Planned It)」は、シングルとしてもリリースされ、大きな反響を呼びました。母国アメリカの「ビルボード・ホット100」では最高62位、そしてイギリスの全英シングルチャートでは最高11位を記録するヒットとなり、アルバムの知名度向上に貢献しました。

豪華な参加ミュージシャン

このアルバムの制作には、当時の音楽シーンを代表する錚々たるミュージシャンたちが参加しています。ビリー・プレストン自身がボーカル、ピアノ、各種キーボードを担当したほか、ギターにはジョージ・ハリスンとエリック・クラプトン、ベースにはキース・リチャーズ、ドラムスにはジンジャー・ベイカーという、ロック史に名を刻む面々が集結しました。また、ソウルシンガーのドリス・トロイもバッキング・ボーカルとして参加しており、作品に深みを与えています。これらの強力な布陣は、アルバムのサウンドの質を高め、後世に語り継がれる要因の一つとなっています。

再発とボーナス・トラック

本作は、その重要性から度々再リリースされています。

1991年にCDとして初めてリリースされた際には、オリジナルの収録曲に加え、ボーナス・トラックが3曲追加されました。「スルー・オール・タイムズ」、「アズ・アイ・ゲット・オールダー」、「神の掟（別ヴァージョン）」がそれにあたります。中でも「アズ・アイ・ゲット・オールダー」は、偉大なミュージシャンであるレイ・チャールズがプロデュースしたことでも話題となりました。

さらに、2010年に発売されたリマスター盤CDでは、1991年盤のボーナス・トラックに加え、「サムシング・ゴット・トゥ・チェンジ」が新たに追加され、より多くの楽曲を楽しむことができるようになりました。

収録曲

特記されていない楽曲はビリー・プレストンによるものです。

1. ドゥ・ホワット・ユー・ウォント (Do What You Want) - 3:41
2. アイ・ウォント・トゥ・サンキュー (I Want to Thank You) - 3:12
3. エヴリシングス・オールライト (Everything's Alright) (Billy Preston, Doris Troy) - 2:42
4. 彼女は僕のもの (She Belongs to Me) (Bob Dylan) - 4:07
5. イット・ダズント・マター (It Doesn't Matter) - 2:39
6. モーニング・スター (Morning Star) (W. C. Handy, Mack David) - 3:16
7. ヘイ・ブラザー (Hey Brother) (B. Preston, Jesse Kirkland) - 2:32
8. ホワット・アバウト・ユー (What About You) - 2:08
9. レット・アス・オール・ゲット・トゥゲザー・ライト・ナウ (Let Us All Get Together (Right Now)) (B. Preston, D. Troy) - 4:06
10. ジス・イズ・イット (This Is It) (B. Preston, D. Troy) - 2:43
11. キープ・イット・トゥ・ユアセルフ (Keep It to Yourself) - 2:35
12. 神の掟 (That's the Way God Planned It) (Parts 1 & 2) - 5:33

CDボーナス・トラック

13. スルー・オール・タイムズ (Through All Times) - 3:57
14. アズ・アイ・ゲット・オールダー (As I Get Older) (B. Preston, Sly Stone) - 3:43
15. 神の掟（別ヴァージョン） (That's the Way God Planned It (Alternate Version)) - 4:12
16. サムシング・ゴット・トゥ・チェンジ (Something's Got to Change) (B. Preston, Arthur Fullilove, Melvin Ray Jernigan) - 2:12

『神の掟』は、ビリー・プレストンの才能と、当時の最高峰のミュージシャンたちが融合した、ソウルとロックがクロスオーバーする時代の名盤と言えるでしょう。

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