神力裕

神力 裕（しんりき ひろし）

1964年3月4日、福岡県に生まれる。日本の多才な表現者として、歌手、俳優、作詞家、作曲家として幅広く活動を展開した。旧芸名は藤慎一郎（ふじ しんいちいちろう）。

経歴と活動

神力裕のキャリアは、1970年代後半に旧芸名である藤慎一郎として幕を開けた。1979年から1980年にかけて、NHKの音楽番組「レッツゴーヤング」に登場するアイドルグループ、サンデーズの一員として活躍し、注目を集める。

その後、神力裕と名を改め、音楽活動を主軸とする。1981年には東芝EMIより歌手として本格的にデビューし、シングル「$1,000,000KISS」「恋のタイフーン」「ずぶぬれの青春」を立て続けにリリース。これらの初期作品では、森雪之丞、橋本淳といった著名な作詞家や、平尾昌晃、小田裕一郎といった作曲家が楽曲制作に携わった。「ずぶぬれの青春」のカップリング曲「この愛信じて」は、映画「巣立ちのとき 教育は死なず」のエンディングテーマに起用されている。

1989年にはテイチクから、アルバムまたはシングルとされる「SHOWER」および「SUNSET GRAY」を発表。1992年には東京ハイエナジーから、Vシネマ「監禁逃亡」の主題歌「よしなよ」をリリース。この楽曲は、後に清水健太郎主演の「雀鬼」シリーズ主題歌や、清水健太郎のソロ曲「アメジスト」としても発表されるなど、長く歌い継がれることとなる。没後の2024年には、この「よしなよ」がワールドワイド配信された。

1993年にはキングレコードへ移籍し、精力的に作品を発表。諸岡ケンジとのデュオ「RD」として、TVアニメ「機動戦士Vガンダム」のオープニングテーマ「DON'T STOP! CARRY ON!」を歌唱し、人気を博した。また、キリンコープランドビールのテレビCMソング「デッド・オア・ラブ」も手掛け、同年にアルバム「RD/WORDS」をリリースしている。1998年にはMAKES RECORDから「TEN BALLAD」を発表し、こちらも没後の2023年にワールドワイド配信が行われるなど、彼の音楽は時を超えて届けられている。

歌手活動と並行して、俳優としても多くの作品に出演。1989年の映画「螢」や「開港風雲録 YOUNG JAPAN」、1991年の「かとうれいこのお熱いのがお好き」、1993年の「新極道の妻たち 覚悟しいや」など、映画・ドラマを中心に存在感を示した。

さらに、表現者として声の演技にも活動の幅を広げ、ブリヂストン「COCKPIT」のテレビCMではナレーションを担当している。歌手、俳優としての活動に加え、作詞家、作曲家としてもクレジットされており、自ら詞や曲を手掛けるなど、その才能は多岐にわたっていたことが窺える。

神力裕は2022年12月14日に永眠したが、没後もかつての作品が配信されるなど、その功績は今なお語り継がれている。サンデーズでのアイドル活動から始まり、歌手、俳優、作詞作曲家として多角的なキャリアを築いた、日本のエンターテイメント界における一人の重要な人物である。

もう一度検索