神子畑鋳鉄橋

神子畑鋳鉄橋：歴史を語る最古の鋳鉄橋

兵庫県朝来市佐嚢地区、神子畑川にかかる神子畑鋳鉄橋は、日本の近代化を支えた貴重な産業遺産です。この橋は、明治時代に建設された鋳鉄製のアーチ橋で、現存する同形式の橋としては日本最古のものです。

建設の背景

1878年、神子畑鉱山で銀鉱脈が再発見されたことが、橋建設のきっかけとなりました。鉱山で採掘された鉱石を、生野の生野精錬所まで効率的に輸送するため、全長約16kmの鉱石運搬道路が建設されることになったのです。この道路建設の一環として、手引車や牛車のために架けられたのが、神子畑鋳鉄橋を含む鉄橋群でした。1891年には、鉄道馬車などのトロッコ用の線路も敷設され、輸送能力が強化されました。

橋の特徴

神子畑鋳鉄橋は、横須賀製鉄所で作られた鋳物を飾磨まで海輸し、そこから陸路で運ばれたとされています。建設には、生野鉱山の開発に携わったフランス人技師たちの指導があったと伝えられています。明治政府工部省の主導のもと、総工費4万円をかけて建設されました。

現在の状況

当初、同様の鋳鉄橋が5箇所に架けられましたが、現存するのは神子畑鋳鉄橋と羽淵鋳鉄橋の2つのみです。神子畑鋳鉄橋は、その歴史的価値が認められ、1977年に国の重要文化財に指定されました。老朽化のため、1982年には永久保存を目的とした修繕工事が行われています。2007年には近代化産業遺産、2017年度には日本遺産にも認定され、その価値は広く認められています。

橋の近くには駐車場が整備されており、橋の歴史や鉱山に関する説明板も設置されています。遊歩道も整備されており、橋の上を歩いて渡ることも可能です。

年表

1878年（明治11年）11月 - 神子畑鉱山で銀鉱脈を再発見
1885年（明治18年） - 神子畑-生野間の鉱山道路建設が完了
1917年（大正6年） - 神子畑鉱山が閉山
1919年（大正8年） - 神子畑鉱山跡地に神子畑選鉱所が建設される
1977年（昭和52年）6月27日 - 国の重要文化財に指定される
1983年（昭和58年）7月31日 - 橋の解体保存修理が完了
1987年（昭和62年）3月 - 明延鉱山が閉山、神子畑選鉱所閉鎖
2004年（平成16年） - 神子畑選鉱所を解体撤去
2007年（平成19年）11月30日 - 近代化産業遺産群に認定される
2017年度（平成29年度） - 日本遺産に認定

橋のデータ

施工年：1883年4月-1885年3月
橋長：上流側15.969m、下流側15.997m
最大支間：14.2m
幅員：3.727m
高さ：3.81m
構造形式：鋳鉄製単径間アーチ橋

周辺情報

神子畑鋳鉄橋周辺には、以下の観光スポットがあります。

神子畑選鉱場跡
ムーセ旧居
神子畑交流館
明延鉱山跡
養父市立あけのべ自然学校
養父市立明延鉱山学習館
羽渕鋳鉄橋
竹田城跡
生野銀山
砥峰高原
峰山高原

アクセス

JR西日本播但線新井駅からタクシーで15分
* 播但連絡道路の朝来インターチェンジから国道429号で西に6キロメートル、車で約8分

神子畑鋳鉄橋は、日本の近代化を支えた貴重な遺産であり、土木技術の粋を集めた美しい建造物です。周辺の観光スポットと合わせて、ぜひ一度訪れてみてください。

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