神島崇

福岡県宗像市に生を受けた神島崇は、後にプロ野球選手、そして神職という異色のキャリアを歩む人物です。1979年1月9日に生まれた彼は、古くから神職の家系に育ちました。実父や兄が宗像大社の神主を務めており、彼自身も後にこの道へと進むことになります。

高校は東海大五高校に進学しますが、怪我の影響もあり、主に控え投手として過ごしました。しかし、野球への情熱は衰えず、高校卒業後、彼は単身アメリカに渡ります。アイオワ州にあるインディアンヒルズ短期大学に入学し、野球部でリリーフ投手として才能を開花させました。この地での活躍は目覚ましく、1998年にはチームが全米短大野球選手権大会で3位という好成績を収めることに貢献し、自身も優秀な選手として学生選抜に選ばれるなど、注目を集めました。

アメリカでの経験を経て、神島氏は日本のプロ野球界を目指します。そして2000年のNPBドラフト会議において、日本ハムファイターズから6位指名を受け、入団を果たしました。左腕投手として、最速141km/hの力強い速球とチェンジアップを武器に、プロの世界での活躍を誓います。背番号は「58」を背負いました。

プロ入り2年目の2001年、彼はついに一軍のマウンドを踏みます。10月1日、西武ライオンズとのシーズン最終戦（西武ドーム）において、9回裏二死、走者なしという場面で5番手として救援登板します。この日、神島氏が対戦したのは、後に北京オリンピック日本代表コーチなどを務めた左打者の鈴木健選手でした。緊迫した場面でしたが、神島氏は見事に鈴木選手をライトフライに打ち取り、打者一人を完璧に抑え、イニングを完了させました。結果として、公式記録上の投球内容は1/3回、無失点というものでした。ちなみに、この試合は西武ライオンズの東尾修監督にとって、指揮官として最後にベンチに入った記念すべき試合でもありました。

しかし、残念ながらこの1試合が彼のプロ野球人生における最初で最後の一軍登板となりました。その後、一軍での登板機会に恵まれることなく、通算防御率0.00という珍しい記録のまま、2003年のシーズン終了後に球団から戦力外通告を受け、現役引退を決意します。

プロ野球選手としてのキャリアを終えた神島氏は、実父からの勧めもあり、自身の家系を受け継ぐ神職の道を志すという大きな転換期を迎えます。神職となるためには専門的な学びが必要であることから、神職養成機関として知られる國學院大學に入学し、神道の歴史や儀式、祭事などについて深く学びました。

國學院大學を卒業後、2007年からは福岡県の太宰府天満宮で権禰宜として奉職を開始しました。神職の中には野球経験者も多く、彼は神職の野球大会にも参加するなど、神職として歩む中でも野球との繋がりを保ちました。

太宰府天満宮での奉職期間を含め、神島氏は複数の神社で神職としての経験を積んでいます。まず熊本県の菊池神社で約1年間奉職。その後、再び太宰府天満宮で約5年間奉職しました。続いて愛知県の砥鹿神社で約5年間奉職し、2017年3月からは千葉県の香取神宮に奉職し、現在に至ります。

プロ野球選手として異国の地で活躍し、一軍マウンドを経験した後、家系の伝統である神職の道を選んだ神島崇氏。全く異なる二つの世界を歩んだ彼のキャリアは、多くの人にとって興味深く映ることでしょう。

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