神戸港駅

神戸港駅：神戸港と産業を支えた貨物駅の軌跡

神戸港駅は、兵庫県神戸市中央区に存在した日本貨物鉄道（JR貨物）の貨物駅です。東海道本線貨物支線（神戸臨港線）の終着駅として、神戸港、ひいては神戸市の貨物輸送において重要な役割を担っていました。しかし、2003年12月1日に廃止され、その歴史に幕を閉じました。本稿では、神戸港駅の開業から廃止、そして跡地の現状まで、その歴史を詳細にたどります。

開業からコンテナ時代へ

神戸港駅は、1907年（明治40年）8月20日、「小野浜荷扱所」として開業しました。その後、「小野浜駅」と改称され、1924年（大正13年）には新港第四突堤（神戸ポートターミナル）の神戸港駅（こうべみなとえき）との接続も開始し、ボートトレインによる旅客輸送も開始されました。1939年（昭和14年）には、小野浜駅と神戸港駅（こうべみなとえき）が統合され、駅名は「神戸港駅（こうべこうえき）」に改称されました。

1981年（昭和56年）には、摩耶埠頭駅や湊川駅からコンテナ取扱業務を集約。これにより、神戸港駅は本格的にコンテナ貨物の取扱いを開始し、構内の一部側線を撤去してコンテナホームを拡張しました。同年、海上コンテナ輸送に対応した定期列車も運行を開始。この頃には、駅周辺には三井倉庫、澁澤倉庫、三菱[[倉庫]]などの倉庫へ通じる専用線が敷設され、活況を呈していました。

阪神・淡路大震災と駅廃止

1995年（平成7年）1月17日、阪神・淡路大震災が発生。神戸港駅も大きな被害を受けました。震災からの復興事業の一環として、神戸港駅の跡地再開発が計画され、2003年（平成15年）12月1日に駅は廃止。駅業務は新たに設置された神戸貨物ターミナル駅へと移管されました。

実は、神戸港駅の廃止構想は国鉄民営化の過程で既に浮上していましたが、震災後の復興計画に組み込まれたことで、具体的な廃止へと至ったと言えるでしょう。

廃止後の跡地と新たな姿

神戸港駅跡地は、土壌汚染問題への対応に時間を要しましたが、2010年（平成22年）1月17日、「神戸震災復興記念公園」として生まれ変わりました。駅廃止から公園開園まで7年という歳月を要したのは、土壌汚染の除去作業に時間を要したためです。

なお、震災前には、この跡地にドーム球場を建設し、プロ野球チームオリックス・ブルーウェーブ（現・オリックス・バファローズ）の本拠地とする計画もありました。しかし、JR貨物とオリックス側の意見対立により計画は頓挫しました。

駅構造と周辺産業との繋がり

神戸港駅は、廃止当時、2面のコンテナホーム、3本の荷役線、複数の仕分線、留置線を備えていました。また、1982年（昭和57年）に改築された3階建ての駅舎がありました。

駅周辺には、川崎製鉄（現JFEスチール）阪神製造所や神戸製鋼所神戸製鉄所などへの専用線が敷設され、鉄鋼製品などの輸送が行われていました。これらの専用線は、1970年代から1980年代にかけて順次廃止されました。また、三菱[[倉庫]]への専用線は、湊川駅の廃止後、麦芽輸送を引き継ぎ、岡山や広島の工場へ輸送を行っていました。

まとめ

神戸港駅は、100年以上にわたり神戸港の貨物輸送の中枢を担い、神戸の経済発展に大きく貢献しました。その歴史は、神戸港の変遷、都市開発、そして産業構造の変化と密接に絡み合っています。現在は震災復興記念公園として、新たな役割を担っています。その歴史的役割と、跡地に残された記憶を、私たちは未来へ語り継いでいく必要があります。

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