神格化

神格化とは

神格化（しんかくか、英語: apotheosis）とは、天体、自然、特定の人物、集団などを神、または神に近い存在として扱うことを指します。英語では、apotheosis、deification、divinizationなどの言葉が用いられます。

言葉の由来とキリスト教における解釈の違い

"apotheosis"の語源はギリシア語の"ἀποθεόω"（apotheoun）に由来します。日本語ではこれらの言葉は区別なく「神格化」と訳されますが、キリスト教[[神学]]においては、"apotheosis"は否定される概念であり、"deification"とは区別されます。キリスト教では"theosis"（神化）という別の概念が存在し、正教会では重要な意味を持ちます。

アポテオーシス：芸術における特別な扱い

アポテオーシスは、芸術の分野では、特定の人物、場所、モチーフなどを称揚し、雄大に扱うことを指します。これは、視覚芸術、文学、音楽など、様々な分野で用いられる表現方法です。

歴史における神格化

古代

古代エジプトのファラオやメソポタミアの支配者など、君主崇拝は歴史的に多く見られます。エジプトでは、新王国時代以降、亡くなったファラオはオシリス神として神格化されました。

古代ギリシア

古代ギリシアでは、紀元前9世紀頃から、英雄を祀る儀礼が生まれました。また、マケドニア王国のピリッポス2世は、自身を神格化しました。この慣習は、アレクサンドロス大王やプトレマイオス朝の支配者にも受け継がれ、ヘレニズム世界で広まりました。ギリシアの英雄信仰は、神々とは異なり、冥界的な側面が強かったのが特徴です。

古代ローマ

古代ローマでは、亡くなった為政者が元老院と民衆の同意を得て神格化されることがありました。これは、後継者が前任者の人気を利用する意図もありました。ローマ帝国では、皇帝だけでなく、皇后や愛人も神格化されました。神格化された人物は、"Divus"（女性の場合は"Diva"）という称号で呼ばれ、神殿や柱が建設されました。

中国

中国では、儒教の創始者である孔子が、その死後に崇拝の対象となりました。また、道教では多くの人物が神格化され、小説『封[[神演義]]』には神格化された人物が多数登場します。毛沢東も個人崇拝の対象となり、その影響は死後も続いています。

キリスト教

キリスト教では、"apotheosis"、"theosis"、"deification"は異なる概念として扱われます。"apotheosis"は異教的な慣習とみなされ否定されます。一方、"theosis"は正教会で重要な概念です。キリストが受肉したことで、人間が神のようになることが可能になったと考えられています。

日本

日本では、天皇が現人[[神]]とされたり、御霊信仰や祟り神などの概念が存在します。また、日光東照宮や靖国神社のように、特定の人物や出来事を祀る施設も存在します。

近代以降の神格化

近代の芸術家は、神格化を故人への敬意、芸術的表現、または喜劇的な効果を生み出すために利用してきました。また、政治家も、神学的な意味での神格化ではなくとも、アポテオーシス的な肖像を利用し、自身の権威を高めようとしてきました。

文学における神格化

ジョゼフ・キャンベルの『千の顔を持つ英雄』では、英雄が神格化の段階を経ることが説かれています。また、アーサー・C・クラークの小説『幼年期の終り』やダン・ブラウンの小説『ロスト・シンボル』でも神格化というテーマが用いられています。

音楽における神格化

音楽では、主題を雄大に演奏する部分をアポテオーシスと呼びます。ベルリオーズの『葬送と勝利の大交響曲』や、カレル・フサの『この地球を神と崇める』などが代表例です。

まとめ

神格化は、人間が特定の対象を特別な存在として扱う普遍的な現象です。その背景には、権威の確立、尊敬の念、または芸術的な表現など、様々な意図が存在します。本記事では、神格化の歴史的、文化的、そして宗教的な側面について幅広く解説しました。

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