神津藤平

神津 藤平について

神津藤平（1872年1月15日 - 1960年）は、明治末期から昭和にかけて活躍した日本の実業家であり、長野電鉄の初代社長及び志賀高原の観光開発に貢献しました。北佐久郡志賀村出身の彼は、豪農の家計から生まれ、地元の村会議員や長野県会議員に選出されるなど、地域社会とも深く関わっていました。

初期の経歴

藤平は、北佐久郡の豪農一族に生まれ育ち、家庭の事業である人参栽培や金融業、醤油醸造に従事しました。彼は慶應義塾に学び、1896年に卒業後は東京電灯に勤務しましたが、家族の事情により長野へ帰郷。様々な業務経験を経て、1899年には野沢貯蓄銀行の取締役に選ばれ、実業界への進出を果たしました。

政治活動にも力を入れ、志賀村の村長や長野県会議員を経て、地域の発展に寄与しました。彼の影響力は、金融業においても広がり、六十三銀行で常務取締役として重要な役割を果たしました。

長野電鉄の設立

藤平の実業家としてのキャリアの転機は、1920年に河東鉄道の初代社長に就任したことです。これは、長野県内の鉄道網を発展させるための重要なプロジェクトでした。河東鉄道は、県内の交通便を向上させることを目指し、多大な投資と努力を注ぎ込みました。

彼は技術的な進歩を遂げ、数年後には信越本線と接続する路線を開通させ、長野電気鉄道と合併して長野電鉄を設立しました。この新会社は、地域の発展に寄与し、電化された鉄道を通じて多くの観光客を惹きつけることに成功しました。

志賀高原の観光開発

藤平のもう一つの大きな業績は、志賀高原の観光開発です。彼が訪れた際に見た美しい風景に魅了されたことから、観光施設の建設に尽力しました。「志賀高原」の名付け親でもある彼は、温泉やスキー場の開設を通じて地域の知名度を向上させました。彼の手による数々の施設は、観光振興のために重要な役割を果たし、志賀高原の発展に寄与することとなりました。

彼はまた、上林温泉に遊園地とホテルを建設し、その成功を背景に更なる観光施設にも力を注ぎました。この際に、国際的なスキー選手を招待するなどして、志賀高原の知名度を高めるための広告活動にも努めました。

晩年と栄典

彼の功績は多大であり、1944年には緑綬褒章、1953年には運輸大臣交通文化賞を受賞し、1960年には長野市名誉市民としても記名されました。加えて、同年には勲四等瑞宝章を受け、従五位にも叙せられました。

神津藤平は、地域の発展に大きく貢献した実業家として、長野県の歴史に名を刻んでいます。彼の遺した影響は、今もなお地域の経済・観光の礎として受け継がれています。

系譜

神津藤平は、地質学者の弟や数人の実業家を含む家族を持ち、彼の血筋は後に憲政の場で活躍する人物へと続いています。特に孫の羽田孜は、第80代内閣総理大臣として記憶されています。

宗家の血を引いて、藤平はその名声と影響力を元に、長野県を越えた広がりを持つ人物となりました。

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