神流川発電所

神流川発電所について

神流川発電所（かんながわはつでんしょ）は、東京電力ホールディングスが群馬県多野郡上野村に設置した水力発電所です。この発電所は、長野県に位置する南相木ダム湖と群馬県の上野ダム湖との間で揚水発電を行う施設であり、2つの県と2つの水系にまたがる大規模な純揚水式発電所です。発電所は両ダムの間に位置し、地下500メートルの空間に6台の発電機が設置されています。

概要

神流川発電所の設計最大出力は2,820MWであり、揚水発電所としては世界最大級の規模を誇ります。最大の使用水量は6台の発電機が合わせて毎秒510トンに達し、有効落差は653メートルにもなります。また、発電所の上には御巣鷹山があり、1985年に発生した日本航空123便墜落事故の現場がこの近くであったことが報じられましたが、実際の墜落地点は発電所の地下ではなく、高天原山の尾根でした。

神流川発電所は2005年に1号機が運転を開始し、2012年には2号機が運転を開始しました。3号機から6号機に関しては2020年以降に運転を開始する予定です。発電所には市民が見学できる広報施設「TEPCO GEO E SiTE 神流川」がありましたが、2011年の福島第一原子力[[発電所]]事故を受けて、東京電力が広報活動を縮小したため、現在は廃止されています。ただし、上野村が主催する見学ツアーに参加することで、発電所内部を見学することができます。このツアーは月、水、金曜日の各日1便のみで、事前予約が必要です。

歴史

神流川発電所の歴史は1993年に始まります。この年に神流川水力調査所が設置され、建設に向けた調査が開始されました。1995年には電源開発調整審議会においてその建設が決定され、1997年には本体工事が着工しました。その後、上野ダムの湛水が2003年10月に始まり、続いて南相木ダムの湛水が2004年9月に開始されました。1号機が2005年12月22日に、2号機が2012年6月7日に運転を開始しました。

上池と下池

神流川発電所の上池は、長野県南佐久郡南相木村の南相木ダムによって形成される人工湖です。このダムは信濃川水系南相木川の奥地にあり、高さは136メートルで、ロックフィルダムの形式を採っています。2004年9月より湛水が開始され、完成後は南相木村にとって固定資産税収入の増加に寄与し、地方交付税も不交付となりました。

下池は群馬県多野郡上野村に建設された上野ダムによって形成される人工湖で、こちらも調整池として機能しています。上野ダムは利根川水系の神流川の奥地に位置し、高さ120メートルの重力式コンクリートダムです。こちらも2003年10月に湛水が始まりました。

発電所の構造

神流川発電所は御巣鷹山の地下に設けられた地下式の発電所です。南相木ダムと上野ダムの間には、群馬県側の地表から500メートル以上の深さに空洞が作られており、ここに発電および変電の設備が収められています。発電機の出力を最大限に引き出すため、異なる設計がなされた水路系統が1号機から4号機と5号機、6号機に採用されています。

発電所に供給される水は上池の南相木ダム湖から地下導水路トンネルを通じて運ばれ、最終的には6台の水車発電機で生成することが予定されています。各発電機は日立製作所製の空冷式の発電電動機と可逆式揚水機を搭載しており、一台あたりの揚水運転時の出力は464,000kWとなっています。

発電した電力は変圧器で50万ボルトに昇圧され、東京電力の送電線を通じて首都圏に送られます。水は発電所で使用された後、放水路トンネルを通って下池に放流されます。揚水運転の際はこの水の流れが逆になります。

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