南相木ダム

南相木ダム：日本一高い場所に佇む巨大ダム

長野県南佐久郡南相木村に位置する南相木ダムは、その標高1532メートルという高さから、日本一の高さにあるダムとして知られています。信濃川水系南相木川に建設されたこのダムは、高さ136メートルのロックフィルダムであり、東京電力リニューアブルパワーによって運営されています。

揚水発電の要：神流川発電所

南相木ダムは、東京電力リニューアブルパワーが運営する神流川発電所の重要な役割を担っています。神流川発電所は、南相木ダムを上池、上野ダムを下池とする揚水発電所です。上池と下池の間で水を循環させることで発電を行い、最大282万キロワットの電力を生み出す計画です。現在、470MWの出力を持つ発電機が2基稼働しており、将来的には6基のタービンにより、世界最大級の揚水発電所となる予定です。

ダム建設と地元への影響

南相木ダムの建設は1995年に始まり、2005年に完成しました。ダム建設によって南相木村には固定資産税が導入され、2006年度からは地方交付税交付金の不交付団体に指定されるなど、経済的な影響をもたらしました。

独自の導水システムと環境への配慮

南相木ダムは、慣行水利権や漁業権の観点から、南相木川の水を直接発電に利用することができません。そのため、南相木川の水はダムを通さず、導水路を経由して洪水吐付近に放流されています。増水時にはダム湖に流れ込む仕組みになっています。このシステムは、東京電力の玉原ダムでも採用されているものであり、異なる水系の河川水が混入することで下流の生態系に悪影響が生じることを防ぐための配慮です。

観光資源としての魅力

南相木ダム周辺は、上流・下流にわたって公園が整備されており、完成後は南相木村の観光資源として積極的に活用されています。ダム堤頂部からは、晴れた日には八ヶ岳を望むこともできる絶景ポイントとなっています。

特に、ダム下流にある「ウズマクヒロバ」は注目に値します。石灰岩、水、コンクリートの壁を用いて「渦」「流れ」「螺旋」の3要素を表現したこの広場は、2006年度グッドデザイン賞を受賞しています。

アクセスと周辺環境

南相木ダムへのアクセスは国道141号から南相木村方面へ向かう道路を利用できます。ただし、11月中旬から4月下旬までは冬季通行止めとなります。上野ダムへのアクセスは、山を下り北相木村方面からぶどう峠を越えるルートが最短です。かつては御巣鷹山トンネルを経由して群馬県側に抜けることもできましたが、現在は通行止めとなっています。

まとめ

南相木ダムは、その高い標高と巨大なスケール、そして最先端の技術が融合した、日本のダム工学を代表する施設の一つです。発電所の役割に加え、観光資源としても地域社会に貢献しており、自然と技術の調和が見事に表現された場所と言えるでしょう。

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