神田事件 (ホーリネス)

神田事件（かんだじけん）

神田事件は、1936年に日本ホーリネス教会において発生した一連の騒動であり、この事件は教会内の分裂を引き起こした重要な出来事として歴史に刻まれています。この騒動は、教会の運営方針や信徒の支持が大きく対立した結果として生じました。

経緯

事件の発端は、1936年9月23日に中田重治監督が聖書学院の教授らに送った書簡にありました。この書簡では、監督の復帰やユダヤ人問題に関する新たな方針を提示し、それに対する是非が問われる形となりました。これを受けて、車田秋次や米田豊、小原十三司らが臨時総会を召集しました。

臨時総会は10月25日に淀橋教会で開催され、翌日の26日には、中田監督の解職を提案する酒井助作の発議が行われました。この案はほぼ全会一致で可決されましたが、監督解職に伴う議論も巻き起こりました。前監督としての特権は保障されつつも、新たに設けられた委員会制度の導入が決定され、車田、小原、米田、一宮、菅野の各氏が委員に選出されました。

しかし中田氏は総会での監督解任が非合法であると主張し、その意見に賛同する信徒も多く存在したため、ホーリネス教会は分裂の道を選ぶこととなりました。

事件が起こった直後の11月23日、中田の友人である桜庭駒五郎は臨時総会の非合法性を指摘する文章を発表しました。その後も双方から相手の正当性を主張する声明が出され、事態はますます緊迫しました。ついには、中田側が臨時総会の無効を訴える民事訴訟を起こす事態に発展し、この混乱は1936年の和協分離まで続くこととなります。

神田事件の発生

神田事件は、中田があらかじめ東京を離れていた際に発生しました。11月13日、委員側は神田教会の福音使に泉田精一を任命したのに対し、神田教会の臨時総会は中田氏を支持する決議を行いました。これにより両陣営の対立が再燃し、神田教会堂を巡る意見対立が激化しました。

事件の一方で、中田は神戸のホーリネス大会に出席するために移動中であり、複数の信徒と面会し意見交換を行っていました。特に、賀川豊彦との会合では批判もあり、緊張が高まる中で中田は各地を巡る旅を続けました。

福音使による会堂占拠

中田支持を決定した神田教会に対抗して、委員側では教会堂を財産として守る意義から数名の福音使が11月21日に会堂を占拠しました。11月25日には一宮政吉を招いた集会が行われ、その後の礼拝には異なる陣営の信徒たちが集まることになり、混乱が生じました。

両陣営が同じ会堂でそれぞれの礼拝を行おうとした結果、事件は報道され、「神様、あなたの子どもたちが争っています」という見出しと共にキリスト教会のイメージを損なう事態となりました。

この事件は、教会内での権力構造や信徒の心の中に潜む葛藤を浮き彫りにする重要な歴史的出来事となりました。神田事件は、教会の運営ルールや信徒の結束が如何に重要であるかを示す一例であり、その教訓は今なお多くの人々にとって考えさせられるものがあります。

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