神秘 (ピンク・フロイドの曲)

ピンク・フロイドの楽曲「神秘」（英語: A saucerful of secrets）は、1968年に発表された同名アルバムに収録されています。約12分にも及ぶこの曲は、インストゥルメンタルナンバーとして、ピンク・フロイドの音楽性を深く示す作品として知られています。

結成当初、ピンク・フロイドはシド・バレットが中心的な存在でしたが、彼の薬物中毒と精神的な不安定さから、バンドからの脱退を余儀なくされました。バレットを失ったバンドは、新たな音楽的方向性を模索する必要に迫られました。その過程で生まれたのが、この「神秘」です。

この楽曲は、ファースト・アルバムに引き続きノーマン・スミスがプロデュースを担当しました。デヴィッド・ギルモアは、この曲のテーマを戦争であると述べています。興味深いことに、「神秘」はバンドのメンバー全員がクレジットされていますが、実質的な作者は当時加入したばかりのギルモアであり、楽曲の構成はロジャー・ウォーターズとニック・メイスンが担当しました。特に、建築科出身のウォーターズとメイスンは、建築の設計図のように楽曲の盛り上がりを視覚的に捉え、構成していったというエピソードが残っています。

1969年に発表されたアルバム『ウマグマ』では、「パート別」に以下のタイトルが記載されていました。ただし、再発版ではカットされています。

"Something Else"
"Syncopated Pandemonium"
"Storm Signal"
"Celestial Voices"

「神秘」は、1968年6月からライブの主要なレパートリーとなり、最長で20分を超える演奏が繰り広げられ、1972年9月まで演奏され続けました。この楽曲のライブバージョンは、1969年発表のライブアルバム『ウマグマ』や、1972年発表の映画『ピンク・フロイド・ライヴ・アット・ポンペイ』で聴くことができます。これらのライブパフォーマンスは、「神秘」の持つ壮大さ、実験的な要素をより一層引き出しています。

もう一度検索