神荼・鬱塁

神荼（しんじょ）・鬱塁（うつりつ）について

神荼と鬱塁は、中国神話の中で特に重要な役割を担う神々です。彼らは主に行いの悪い霊魂を捕らえ、虎に食べさせるという伝説があり、これが悪霊を退治するための象徴的行為とされています。実際、これらの神々の絵や名前を家の門に飾る風習があり、門神の最古の例と見なされています。神荼と鬱塁は、他の神々に取って代わられた時期もありましたが、今でも特定の地域では彼らを飾る風習が継承されています。

名称の起源

神荼は「しんじょ」という読みが元々の発音であり、「荼」は同じ音の「除」に関連付けられることが多いです。また、鬱塁という読みは「うつりつ」とされ、こちらの「塁」は「祓」と脚韻を持つことから、神荼と鬱塁の根底には「除霊・祓い」の概念が存在するとされています。興味深いことに、中国語においても神荼の読みは複数のバリエーションがあり、標準的な「Shentu」（拼音表記）や「Shenshu」とされることもあります。

早期の文献における言及

神荼と鬱塁の最も古い文献上の言及は、『山海経』からの引用に見られます。この記述は王充の『論衡』にあり、神荼と鬱塁が海にそびえる桃の木の上に立っているとされ、その木の枝は3000里にわたって屈折していると描写されています。鬼門には彼らの存在があり、彼らは悪霊を葦で縛り、虎に食べさせるという儀式が伝えられています。この伝説は黄帝が民間に広めたとされ、桃の木で作られた人形が飾られ、神荼と鬱塁、さらに虎の絵が門に描かれることになったと伝えられています。

同じく『論衡』の別篇にも関連した内容がありますが、少し異なる文体で、ここでは県官がこれを行っていると記されています。また、蔡邕の『獨斷』や応劭の『風俗通義』にも似たような記載があります。これらの文献は、実際の飾り付けが行われるのは大晦日や年末の祭りに行うことが多いと記載しています。

後世への影響

桃の木で作られた人形、およびその飾りは時を経て簡略化され、同様の効果を持つ桃符という板に変わっていきました。これに神々の像や名前が描かれるようになり、門の飾りとして一般化しました。言い伝えによれば、8世紀になると唐の太宗が秦珪と尉遅恭を悪霊から保護するために任命したことから、門神としての慣習が始まったと伝えられています。

9世紀には鍾馗が門神として採用されるようになり、10世紀には桃符に祝詞が書かれるようになりました。この桃符は、後に紙製のものに変わり、春聯（春の言葉を記した飾り）に発展していくとされています。

また、清の学者である兪正燮は門神が本来1神であったが、誤読によって2神として扱われるようになったと指摘していますが、その詳細については議論があります。神荼と鬱塁の神名の由来が「桃」に関連しているという点も重要な注目が必要です。

このように、神荼と鬱塁は中国の民間信仰や習慣において重要な位置を占め、多くの世代にわたってその存在が伝えられています。

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