神道国際学会

神道国際学会とは

神道国際学会は、日本文化の研究と紹介を目的として1994年に東京で発足した団体です。1996年にはニューヨークにNGOのInternational Shinto Foundationを設立し、2000年には日本でNPO法人として認可されました。国連と連携するNGOとして、特殊諮問資格を持っていました。

設立の背景と目的

神道国際学会は、ワールドメイト教祖の深見東州氏によって設立されました。その目的は、日本国内外の日本宗教研究者へ呼びかけ、神道研究を支援し、日本文化への国際的な理解を促進することにありました。定款には、「古代から現代につづく日本文化の研究紹介を行うなど、社会教育の推進、文化の振興、環境保全に関する事業を行い、同様の目的を持つ国内外の団体と協力して、全人類の福祉の向上に寄与することを目的とする」と記されています。

活動内容

主な活動内容は以下の通りです。

国際シンポジウムの開催（日本国内外）
海外の大学や研究機関への神道講座開設働きかけ
海外研究者の招聘と研究機会の提供
神道に関する文献の収集と図書館創設
文献の翻訳・出版
研究発表・討論機会の提供
若手研究者の育成
一般向けの啓発活動

特に、コロンビア大学宗教学部に「深見東州神道学講座」を開設するなど、海外における神道研究の拠点づくりに貢献しました。

組織の変遷

当初の英語名はInternational Shinto Foundationでしたが、後に日本組織の英語名はInternational Shinto Studies Associationとなりました。2005年にはアメリカのインターナショナル・シントウ・ファウンデーションが分立しましたが、これも日本語で神道国際学会と呼ばれることがあります。

組織運営においては、新宗教ワールドメイトとの関係が深く、財政面での支援を受けていました。しかし、研究と実践の目的が混同されがちな点が指摘され、2004年に組織改革が行われました。

2021年8月には、NPO法人としての神道国際学会は解散しましたが、国際セミナーの開催やウェブサイトの維持、出版物の刊行などの事業を継続するため、「任意団体（人格なき社団）」としての神道国際学会が新たに設立されました。

評価

宗教学者の間では、神道国際学会の活動について様々な評価があります。

島薗進氏は、神社本庁との協力関係や、外国人研究者のネットワーク形成を評価しています。
井上順孝氏は、神社界に深見氏の活動を支持する者が少なくないと指摘しています。
インケン・プロール氏は、ワールドメイトと神道国際学会の関係を、新宗教教団による学術支援の典型例として挙げています。
マーク・テーウェン氏は、神道研究の国際的ネットワーク構築への貢献を認めつつ、ワールドメイトによる財政維持の問題点を指摘しています。

沿革

1994年：東京で民間の任意団体として発足
1996年：ニューヨークでInternational Shinto FoundationがNGOとして設立
2000年：日本でNPO法人として認証
2001年：コロンビア大学に「深見東州神道学講座」を開設
2005年：組織改変により、アメリカのInternational Shinto Foundationが分離
2021年：NPO法人としての神道国際学会を解散し、任意団体として再設立

代表者

梅田善美（初代理事長）
大崎直忠（第2代理事長）
三宅善信（第3代理事長）
中西旭（初代会長）
薗田稔（第2代会長）
栗本慎一郎（第3代会長）
マイケル・パイ（第4代会長）

参考文献

沼田健哉『宗教と科学のネオパラダイム 新新宗教を中心として』創元社、1995年
島薗進『ポストモダンの新宗教』東京堂出版、2001年
井上順孝 編『現代宗教事典』弘文堂、2005年
井上順孝「神道研究の国際的ネットワークの形成について」『神道と日本文化の国学的研究発信の拠点形成 研究報告』III、文部科学省21世紀COEプログラム、2007年
Ugo, Dessì (2013). Japanese Religions and Globalization. Routledge.
Aike P. Rots (2017). Shinto, nature and ideology in contemporary Japan : making sacred forests. Bloomsbury Academic.
Gerrit Steunebrink; Evert Van Der Zweerde (2004). Civil Society, Religion, and the Nation: Modernization in Intercultural Context: Russia, Japan, Turkey. Rodopi Bv Editions.

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